第45 回中日本入会林野研究会大会のお知らせ(R7/9/3)
第45 回中日本入会林野研究会大会のお知らせ(R7/9/3)
- 2025.7.28
- 一般情報
◆基調報告の要旨
基調報告1
平野悠一郎(森林総合研究所多摩森林科学園主任研究員)
「森林の訪問・体感利用の可能性と課題」
要旨:森林の訪問・体感利用は、近年、「森林サービス産業」等の政策的な後押しを受けつつ、各地で多様な発展を遂げてきた。そこでは、事業化を通じた森林所有者の収益確保はもとより、森林の有効活用による地域活性化、さらには新規の利用層の創出による森林への関心喚起といった意義・可能性が見られてきた。一方で、各種の利用間の調整、フィールドの維持整備の担い手確保や所有・管理者の安全管理責任等は、制度的な枠組みが整っておらず、課題として残される。
基調報告2
山下詠子(東京農業大学地域環境科学部准教授)
「(旧)入会林野のレクリエーション事業への活用」
要旨:近年、取り組みが増えてきている森林のレクリエーション利用のフィールドとして、入会林野や生産森林組合、財産区などが活用される例が出てきている。レクリエーション利用は木材生産とは異なり、観光客の来訪により地権者や地域住民に様々な影響がもたらされると考えられる。そこで本報告では、いくつかの事例より(旧)入会林野におけるレクリエーション事業が導入された経緯やその実態を明らかにし、入会集団等の地元にとってのレクリエーション事業の意義を検討したい。
基調報告3
天野雅夫(神戸親和大学非常勤講師)
「下唐櫃林産農業協同組合の林野活用の取り組みから」
要旨:旧有馬郡唐櫃村(現神戸市北区有野町唐櫃)は、六甲山系と丹生山系に挟まれた有野川沿いの集落とそれを取り巻く広大な山地からなる地域で、かつては六甲山の頂上付近から集落まで1000 町にも及ぶ林野を所有していた。明治に入って、林業生産だけでなく、非林業的な利用が増え、別荘地などの収入が村の大きな財源となる。その後、昭和二年には関西の大手私鉄によって部落有林野七五万坪が買収され、山頂付近にはレジャー施設やホテルが建設される。残された林野は、近年、林業収入が大きく減少し、林野の維持・管理が大きな課題となってくるが、こうした問題を集落として取り組んだ下唐櫃林産農業協同組合の事例を紹介したい。
コメント
鈴木龍也(龍谷大学名誉教授)
「レクリエーション事業実施団体・施設等管理団体の責任について」
要旨:入会林野内でレクリエーション行事を開催する場合には、その行事の主催者は参加者が怪我をするようなことがないように十分な注意を払うべきであるし、林野の管理責任を負う者は道や樹木、使用する施設等に瑕疵がないように十分な注意を払って管理すべきである。では、誰か参加者が怪我をしたというような場合に、具体的にはそれらの責任はどのような形で問われることになるのであろうか。また責任の有無の判断においてはどのような点がポイントになるのであろうか。幾つかの裁判例を挙げながら簡単にコメントしたい。