第133回日本森林学会大会/公募セッション一覧

公募セッションは、既存の部門ではカバーできない部門横断的なテーマについて会員の研究交流を継続的に進めることを目的としたセッションです。発表者は公募します。

T1生物多様性保全と森林管理
Biodiversity conservation and forest management

T2.森林環境の持つ保健休養機能の基礎的研究と応用研究 -森林+αのこころみ-
Basic and applied studies on forest amenities

T3.森林の放射能研究
Research on radioactivity in contaminated forests

T4.樹木根の成長と機能
Development and function of tree roots

T1.生物多様性保全と森林管理
Biodiversity conservation and forest management

コーディネータ:山中聡(森林総合研究所)、山浦悠一(森林総合研究所)

ポスター発表の設置あり

森林の減少・劣化は世界規模で進行しており、森林生態系における生物多様性の保全とその持続可能な利用のための行動が必要とされています。日本の国土の約7割は森林に覆われていますが、人間活動による改変が少ない森林は限られており、原生林やそれらに依存する生物の生息地を維持することは重要です。また近年では、里山などで人間活動の衰退に伴う生物多様性の減少も懸念されています。その一方で、日本の森林の4割を占める人工林は各地で伐採が進み、林業の地域社会や経済への貢献が期待されています。これらの人工林は一般に生物多様性が低いことが知られていますが、管理の仕方によって多くの生物の生息地として機能するとも指摘されています。森林と林業の社会的価値や持続可能性を向上させていくために、日本でも生物多様性の保全に配慮した森林の管理が、今後より重要となっていくと考えられます。

生物多様性の保全に配慮した森林管理を行うためには、様々な分類群や林相(天然林や人工林など)、地域を対象とした生態学的研究や保全技術の開発や検証、集積が必要です。また、得られた知見を実際の森林管理に導入するためには、政策学や社会経済学など、様々な学問分野からのアプローチが必要とされます。

本セッションでは、森林生態系における生物多様性の保全という共通の課題を扱う研究の発表を募ることで、これまで異なるセッションで発表されてきた研究や研究者が集まる場を作りたいと考えています。研究対象とする生物多様性の階層(遺伝子、種、生態系)や空間スケール(林分、景観、流域など)、学問分野は問いません。発表形式は口頭発表とポスター発表の両方を対象とします。当セッションでの発表やその中での議論を通して、参加者の方々が取り組んでいる課題について情報を交換・議論し、理解を深め、生物多様性に配慮した森林管理の実践に寄与することを目的とします。

T2.森林環境の持つ保健休養機能の基礎的研究と応用研究-森林+αのこころみ-
Basic and applied studies on forest amenities

コーディネータ:上原 巌(東京農業大学)

ポスター発表の設置あり

本セッションは本大会で18回目を迎え、森林科学研究の分野の中で、一般市民の需要と関心が高い分野の1つである。これまでの大会では、生理的および心理的なアプローチの基礎的研究をはじめ、臨床事例、研究手法、尺度開発、国内外の地域における事例研究などが発表されてきた。基礎的研究から、保健休養に供する森林環境の整備といったハードの課題、治療・保養プログラム作成等のソフトの課題、そして各臨床症例・事例研究や、保養地事例などに至るまで多岐にわたった内容になっていることが特徴である。そのため、森林・林業関係者だけでなく、医療、社会福祉、心理、教育など、多領域の専門家に参加していただきながらコラボレーションを行ってきたことも特色であり、本セッションの存続意義である。

第133回大会ではさらに、「森林+αのこころみ」をサブテーマに掲げ、「森林+コロナ」「森林+カウンセリング」「森林+ケア」など、一般市民の健康増進はもとより、日常生活における保健衛生や、医療、福祉、教育などの諸分野とも複合したセッションを目指したい。また、本大会のセッションでは、そのような諸分野における視点から心身の保健休養の調査研究だけでなく、事例研究にも重点を置き、森林の持つ保健休養機能についての研究手法、アプローチ方法についても検討、考究することを目的とする。

身近な事象から国際的な課題まで、多様な研究発表をお待ちしています!

T3.森林の放射能研究
Research on radioactivity in contaminated forests

コーディネータ:小松雅史(森林総合研究所)、大久保達弘(宇都宮大学)

ポスター発表の設置あり

前回大会が行われた2021年3月は、震災から10年という節目でした。そこでこれまでの研究を振り返り、今後のことを考えるため、企画シンポジウムを開催しました。森林の放射能研究はこの10年で多くのことが明らかになった一方、未だ多くの課題が残されていることが共有されました。例えば、森林に降った放射性セシウムの大まかな挙動についてはわかってきましたが、より細かい動きは不明な点が多いのが現状です。こうした情報は森林ごとの放射性セシウムの分布や将来予測のために役立ちます。また、広葉樹や林産物の汚染は未だに問題となっており、研究をどのように問題解決に結びつけていくか、よく検討しながら進めていくことが必要となります。復興庁が10年延長になるなど、震災復興の動きは現在も続いていますが、次の10年が非常に重要であることは間違いありません。限られた時間の中で問題解決するためにも研究と公表を継続していくことが不可欠です。今回再び公募セッションを行い、引き続き森林の放射能についての研究発表を皆様から募ります。オンラインで口頭発表とポスター発表どちらの発表形式も可能とする予定です。帰還困難地域での調査を含めた森林内の放射性セシウムの循環、林産物の汚染、汚染低減のための対策、社会への影響など、幅広い視点からの発表をお待ちしています。

T4.樹木根の成長と機能
Development and function of tree roots

コーディネータ:平野恭弘(名古屋大学)、大橋瑞江(兵庫県立大学)、野口享太郎(森林総合研究所)

ポスター発表の設置あり

公募セッション「樹木根の成長と機能」では、樹木根をキーワードに太い根から細い根まで、生態系レベルから細胞レベルまで、根と関連した多岐にわたる研究を公募し、報告対象といたします。本公募セッションでは、樹木根だけでなく、様々な境界領域分野との融合を目指します。研究内容に「根」に関する測定や事象があれば、葉や材をはじめとする樹木地上部に関する研究、土壌微生物や化学特性、緊縛力など土壌に関する研究、温暖化や酸性化といった環境変動に関する研究など、根以外を主な対象とする発表も広く歓迎いたします。また「根」を測定項目としたい会員向けに測定方法の共有も目的とします。発表形式は口頭発表またはポスター発表とします。

発表当日は、趣旨説明の後、口頭発表していただき、適宜発表間に討論時間を設け、最後に総合討論の時間を設ける予定です。趣旨説明では根研究学会の開催する根研究集会の紹介、2022年7月に米国で開催予定の第8回国際樹木根会議の紹介など樹木根研究の国際および国内動向を森林学会員に広く情報提供します。総合討論では、樹木根と境界領域分野との研究者間ネットワーク作りを促進するための討論も行います。