第137回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S7. 大規模産地試験から見えてきたダケカンバの環境適応の核心部:気孔・樹形・萌芽・被食防衛・外生菌根[The leading edge of local adaptation of Betula ermanii revealed from range-wide provenance trial: stomata, tree architecture, sprouting, antiherbivore defense and ectomycorrhizal fungi]

日付 2026年3月17日
開始時刻 9:00
会場名 中ホール200
講演番号 S7-1
発表題目 近年分かってきたダケカンバの生態と環境適応研究の意義
The latest findings in ecology and the research significance of the local adaptation of Betula ermanii
所属 筑波大学
要旨本文 ダケカンバは、日本の高山を代表する樹種であり、特に生理生態に関しての研究が進んできた。一方で、その分布はロシア・カムチャッカ半島~バイカル湖付近~中国東北部~四国・紀伊半島と広く、ロシア、中国、日本で多数の変種が報告されるなど、その地理的変異や種分化に関して未解明な部分が多い。現在、2019年に全国大学演習林協議会加盟の9大学が設置したダケカンバ産地試験により本種の生態に関して研究が急速に進んでいる。例えば、北出身の個体ほど樹高・葉面積・SLA が大きいという南北バリエーションを示し、森林限界出身の個体は強い自然選択の影響を受け生存率が低く、個体サイズが小さいことが報告された。さらに本種は四倍体として知られるが、南限地の四国・紀伊半島には、その半分のゲノムを保持する二倍体が生育し、葉や種子の形態も異なる系統であることが明らかになった。この二倍体ダケカンバは、中国に多く分布するCostatae節に近縁であることから、ダケカンバは南方由来であり、その種分化は日本列島近辺で繰り広げられた可能性が示唆される。ダケカンバが高山の厳しい環境へ適応できたメカニズムは、植物の環境適応の解明に重要な鍵を握る。
著者氏名 ○相原隆貴
著者所属 筑波大学生命環境系
キーワード 産地試験, 環境適応, ダケカンバ
Key word Common garden experiment, Local adaptation, Betula ermanii