第137回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S1. 総合学としての林学史[History of Forestry as Forest Arts and Sciences]

日付 2026年3月17日
開始時刻 9:00
会場名 Leo Esaki メインホール
講演番号 S1-1
発表題目 見果てぬ夢:経験主義・現場主義に根差した多様な森林施業の成立
Setbacks in establishing diverse forest management systems based on practical experience
所属 大阪市立自然史博物館
要旨本文 森林施業の歴史の理解には、自然科学から社会科学まで幅広い情報の参照が有効である。本発表では、「多面的機能の持続的発揮を目的とする多様な森林施業は未完である」という演者の認識を前提に、その理由を森林施業論の外縁にも目を向けて考える。従来の造林学的な要約は、近世以降スギやヒノキの植林が始まり、地域の環境や需要を反映した多様な森林施業が行われたが、明治以降の近代化で密度管理や伐期が推奨された結果、少数の針葉樹種による単純化、標準化された同齢林短伐期管理に収斂した…というものであろう。しかし、スギやヒノキはなぜ造林樹種に成りえたのか、そのような樹種は普遍的に得られるのかといったことを考えれば、国内の森林施業の針葉樹への傾倒には合理性がある。また、近世に一部で地域性を持つ育成林業が成立したものの、大半を占める後発地域では、明治以降、法正林概念に強く影響された行政主導で育成林業の移植が試みられたのであり、画一化は始めから内包されていたといえる。針葉樹同齢林短伐期管理による法正林的枠組みは今も強固である。故に従来の延長線上のみに、改良的に多様な森林施業を求めることは難しいだろう。
著者氏名 ○大住克博
著者所属 大阪市立自然史博物館
キーワード 森林施業, 育成林業, 地域多様性
Key word Forest management systems, Cultivation forestry, Regional diversity