第137回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2026年3月17日
開始時刻 ポスター発表
会場名 多目的ホール
講演番号 PM-8
発表題目 積雪は菌従属栄養性を高めるきっかけになるか?イチヤクソウ種複合体の事例
Does snowcover trigger higher mycoheterotrophy? A case study of Pyrola japonica species complex
所属 三重大学
要旨本文 林床に生育するツツジ科イチヤクソウは、"葉の光合成"と"根に定着する菌根菌"由来の炭素を併用する部分的菌従属栄養植物である。本種は、環北極域を起源とする3-5 cmの葉を通常複数枚もつ常緑多年草で、属内の近縁な種群は中国南東部、北米大陸に分布する。一方で、極小な緑色葉1枚のみ有し花茎が赤変する変異体はヒトツバイチヤクソウ(以下ヒトツバ)とよばれる。ヒトツバの形態変容は、菌根菌により強く依存する進化の途上を反映する可能性があるが、発生する背景と適応的意義は不明である。そこで本研究では、両種の環境適応の違いを明らかにするため、生態ニッチを決定する環境因子を種分布モデルで調べた。環境空間PCAでは、両種のニッチは部分的に重複したが、ヒトツバのニッチ重心はイチヤクソウのものより気温が低い環境空間に位置した。分布予測では、イチヤクソウの方がヒトツバより2倍以上分布が広いと推定された。これらの結果から、ヒトツバは寒冷地に分布する傾向があるが、イチヤクソウに対し部分的な入れ子分布として重なると考えられた。以上より、イチヤクソウの寒冷地適応がヒトツバの発生と現存分布に至った進化的背景を議論する。
著者氏名 ○榮航太朗1 ・ 首藤光太郎2 ・ 松田陽介1
著者所属 1三重大学大学院生物資源学研究科 ・ 2北海道大学総合博物館
キーワード アーブトイド菌根, 菌類ネットワーク, 生態ニッチモデリング, 林床植物, 混合栄養性
Key word Arbutoid mycorrhiza, Fungal network, Ecological niche modeling, Forest floor plant, Mixotrophy