第137回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

防災・水文部門[Forest Disaster Prevention and Hydrology]

日付 2026年3月18日
開始時刻 ポスター発表
会場名 多目的ホール
講演番号 PJ-56
発表題目 長期流出データに基づく森林流域蒸発散量解析:マツ・ナラ枯れ後の応答
Evapotranspiration Analysis Based on Long-Term Runoff Data: Responses in Forest Watershed Following Pine and Oak Wilt
所属 東京大学生態水文学研究所
要旨本文 日本の森林ではマツ材線虫病やナラ枯れによる大規模な樹木枯死が、生態系の構造と機能に大きな影響を及ぼしている。本研究では、1980年代からマツ枯れの影響を受けてきた愛知県瀬戸市の白坂南北谷小流域を対象に、これら樹木被害が蒸発散量に及ぼす長期的影響を解明した。流域内の1haの試験地において、2004~2023年の毎木調査に基づき森林構造の変化を把握するとともに、2001~2023年の日流量データを用いた短期水収支法と、単木蒸散量推定モデルを併用して解析を行った。推定の結果、2010~2011年のナラ枯れ発生ピークにより、ナラ類の蒸散量は年間約15mm減少した。また、1980年代から減少が続いていたアカマツも、36mm/年(2004年)から9mm/年(2023年)まで低下した。一方、同期間中にヒノキの蒸散量は約84mm/年から106mm/年へと増大し、その他広葉樹も約48mm/年から76mm/年まで増加した。林分全体の蒸散量は、攪乱による欠損を残存樹種が補う形で維持され、長期的に見れば約220mm/年から245mm/年へと緩やかな増加傾向を示した。これにより、主要樹種の枯死という攪乱に対し、残存樹種の代償的な応答が流域全体の水循環機能を維持するプロセスが明らかとなった。
著者氏名 ○邱__
著者所属 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林生態水文学研究所
キーワード 蒸発散量, 流域水文, マツ枯れ, ナラ枯れ, 長期解析
Key word Evapotranspiration, Catchment hydrology, Pine wilt, Japanese Oak wilt, Long-term analysis