第137回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 2026年3月18日
開始時刻 ポスター発表
会場名 多目的ホール
講演番号 PG-23
発表題目 ブナ健全木と衰退木における葉のトランスクリプトーム比較解析
Comparative transcriptome analysis of leaves from healthy and declining beech trees
所属 北海道大学
要旨本文 老齢林の動態において衰退木は健全木と共に林冠木の主要な一員である。一般に衰退木では、樹冠の葉密度や個葉の光合成能力などの光合成生産に関わる機能が低下して、樹勢の衰えた生理状態に陥る。しかし衰退が必ずしも急速な枯死を招くとは限らず、衰退木は生育の条件次第で数十年以上も生存できる。よって衰退木では、樹勢に応じた葉の光合成機能と維持機能のバランス制御機構がゲノムで発揮され、樹木が長命である生理的根拠の一つになっている可能性が考えられる。本研究は、老齢林に生育するブナ林冠木において、健全木と衰退木の陽樹冠の葉を対象に7月のトランスクリプトームを調べ、発現変動遺伝子の機能分類と共発現ネットワーク解析から衰退木の葉の生理状態の特徴を明らかにした。衰退木の葉におけるトランスクリプトームは、光合成の生産機能への投資を抑え、分解と資源輸送を促進しつつ、葉の構造的強化と生物ストレスに対する防御機能の増強によって特徴付けられた。以上から、衰退木の葉は、光合成機能を犠牲に葉の維持と防御に資源をシフトさせる制御機構が発動し、衰退木を維持していると考えられた。
著者氏名 ○斎藤秀之1 ・ 前田唯眞2 ・ 渡辺ふら乃3 ・ _野南夏2 ・ 田中亜門3
著者所属 1北海道大学大学院農学研究院 ・ 2北海道大学大学院農学院 ・ 3北海道大学農学部
キーワード mRNA-seq, 遺伝子発現, 遺伝子オントロジー, 共発現モジュール
Key word mRNA-seq, Gene expression, Gene ontology, Co-expression modules