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群馬県藤岡市の桜山公園は「三波川(サクラ)」として国の名勝および天然記念物に指定されており、文化財指定の根拠となったフユザクラは近年樹勢の著しい低下が課題となっている。我々はフユザクラ樹勢低下の状況を把握するために開花の観測を行うとともに、今年度急激に危機が高まったクビアカツヤカミキリの被害の調査を行った。これにより、フユザクラの開花期は10~4月で、秋と春に開花のピークがあることが観察された。さらに2カ年の調査を比較することで開花が増加していることが示唆された。クビアカツヤカミキリの調査では、公園内で成虫を実際に見つけ、幼虫の痕跡を多数確認した。さらに、遺伝的多様性を考慮したメリクロン苗の安定生産と遺伝資源の保護を目指し、フユザクラの培養条件に関する研究に加え、雪で折れたフユザクラから茎頂培養を試みた。その結果、培養には植物ホルモンを含まないハイポネックス培地が発根に最も適していることが示唆された。さらに、保護指定区域内の個体から茎頂培養で7株の植物体再生に成功し、ハイポネックス培地で安定的な継代培養が可能であることを確認した。今後は茎頂由来植物体の増殖を進め、公園への補植を目指す。 |