第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S7. 変動環境下における大気‐森林間の物質交換と樹木の生理生態[Atmosphere-forest material exchange and tree physiological ecology under changing environment]

日付 2025年3月21日
開始時刻 14:15
会場名 W109
講演番号 S7-6
発表題目 樹木の放射吸収特性の違いが気候安定化に寄与する可能性
Different radiation absorption characteristics of trees may contribute to climate stabilization
所属 九州大学
要旨本文 ジェームス・ラブロック博士は火星探査計画を通じてガイア仮説を発展させ、デイジーワールドモデルを提唱した。黒白2種類のデイジーだけが生育している惑星において、白い花びら個体は日射を反射し、黒い花びら個体は日射を吸収する。このモデルでは、惑星の気温調節が白と黒のデイジー個体の増減だけで生じ、生物による気候恒常性の一般的機構と植生によるアルベド変化の重要性を示している。地球の植物分布は地史的に大きく変化しており、その過程では針葉樹と広葉樹の対照的な応答が確認されている。そこで、このような違いには、針葉樹と広葉樹の葉や樹冠における日射吸収特性の違いが影響しているという仮説を検討した。その結果、針葉樹以外の植物群では、入射日射の熱吸収割合が最低値に収斂していたのに対して、北方系の針葉樹ではむしろ光合成に利用しない放射成分も吸収する傾向があり、このような「黒い針葉樹」の葉は高緯度地域への適応的なメリットがあると考えられた。針葉樹の増加によって植生のアルベドは減少し、地域熱収支に定性的に大きな影響を与える。針葉樹の日射吸収特性の多様性は、気候安定化の観点からも解釈可能であることを議論する。
著者氏名 ○久米篤1 ・ 秋津朋子2 ・ 半場祐子3 ・ 奈佐原顕郎4 ・ 小口理一5
著者所属 1九州大学大学院農学研究院 ・ 2宇宙航空研究開発機構 ・ 3京都工芸繊維大学 ・ 4筑波大学生命環境系 ・ 5大阪公立大学理学研究科
キーワード 日射スペクトル, 赤外線吸収, 針葉樹, デイジーワールド
Key word Solar radiation spectrum, Infrared absorption, coniferous trees, Daisyworld