第136回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
微生物部門[Forest Microbes]
開始時刻 | ポスター発表 |
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講演番号 | PM-19 |
発表題目 | 北半球広域分布と系統解析によるハナイグチの再分類 Reclassification of Suillus grevillei based on biogeography and phylogeny |
所属 | 信州大学 |
要旨本文 | ハナイグチはカラマツに外生菌根を形成する食用きのこである。これまでの分類学的研究により、少なくとも2系統(Suillu grevilleiとS. clintonianus)が独立種として提唱されている。本研究では、日本産ハナイグチの分類を再検証し、北半球で記録された標本との系統関係を明らかにすることを目的とする。長野県、北海道、東シベリアで採取したハナイグチの標本について形態観察および系統解析を行った。ITSと比較して変異の少ない領域(LSU, RPB1, RPB2, TEF)の結合系統樹から、国内の標本は2系統に分かれた。子実体の傘の色が、クレードAは黄色~明赤褐色、クレードBは濃赤色~濃褐色と差異が見られた。その他マクロおよびミクロの形態的特徴(胞子サイズ、等)に違いは見られなかった。また2系統で国内の地理区分は明確でなかった。北半球の標本と比較すると、クレードAはヨーロッパの標本(S. grevillei)と近縁で、クレードBは東シベリアの標本と近縁であり、北米の標本(S. clintonianus)とは異なるクレードを形成した。クレードBがS. grevilleiとS. clintonianusとは系統的に独立した隠蔽種である可能性が示唆された。 |
著者氏名 | ○宮本裕美子1 ・ 玉井裕2 ・ 山田明義1 |
著者所属 | 1信州大学農学部 ・ 2北海道大学農学部 |
キーワード | ヌメリイグチ属, 外生菌根菌, カラマツ特異的, ユーラシア, 生物地理 |
Key word | Suillus, ectomycorrhizal fungi, larch specific, Eurasia, distribution |