第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T3. 森林の放射能研究[Research on radioactivity in contaminated forest]

日付 2024年3月8日
開始時刻 15:00
会場名 343
講演番号 T3-3
発表題目 野生山菜コシアブラに137Csを供給する土壌深度の推定
Estimation of soil depths that supply 137Cs to the edible wild plant Koshiabura
所属 国立環境研究所
要旨本文 野生山菜のコシアブラは、新芽が食用となる樹木性山菜であるが、137Cs濃度が野生山菜のなかでも高く、原発事故から13年が経った今も8県で出荷制限が続いている。本研究では、コシアブラに137Csを供給している土壌深度を明らかにし、137Cs吸収抑制対策に繋げることを目的として、福島県飯舘村の山林で調査を行った。まず、山菜採りに適した樹高2 mまでの若木の根張りを調べた結果、重量平均で90%の根が鉱質土層の10 cmより浅い層に分布していた。また、eDNAを用いた根の鉛直分布調査でも、コシアブラの細根は鉱質土層の0–5 cmに特異的に分布していた。この浅い土壌層に含まれる交換性87Sr/86Srは、コシアブラ成葉の87Sr/86Srと同程度であったことから、浅い土壌層がコシアブラの養分吸収源であることを確認できた。一方で、コシアブラ新芽の137Cs濃度は、有機物層の交換性137Cs蓄積量が多いものほど高かった。以上より、有機物層を供給源とする137Csが溶脱し、鉱質土層の浅い部分で根に吸収されていると推定されるため、コシアブラの137Cs吸収抑制対策の場として、有機物層と土壌表層の両方が重要と考えられた。
著者氏名 ○渡邊未来1 ・ 越川昌美1 ・ 玉置雅紀1 ・ 高木麻衣1 ・ 境優1 ・ 辻岳史1 ・ Shin, Ki-Cheol2 ・ 林誠二1
著者所属 1国立環境研究所 ・ 2総合地球環境学研究所
キーワード 放射性セシウム, 経根吸収, 木本植物
Key word radiocesium, root uptake, woody plants