第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S8. 山地森林環境の長期的な変化と,それらが水・土砂・流木の流出に及ぼす影響をふまえた災害予測の可能性[The effect of long-term changes in mountain forest environment on water, sediment and woody debris transport and possibility of disaster prediction based on those knowledges]

日付 2024年3月8日
開始時刻 9:00
会場名 443
講演番号 S8-1
発表題目 森林の水源涵養機能の概念が生み出された背景を探る
Investigating the background behind the concept of forest enhancing water resources.
所属 元京都大学
要旨本文  江戸時代は生態系依存の社会であったが、疎林・はげ山拡大は、物質循環の定常性が完全ではなかったことを示している。この物質循環の限界点越えの危機は、農民と領主双方に意識されていたが、両者の立場の違いに基づく対立関係が維持されてきた。 1897年の森林法はこの対立を保安林制定によって引き継いでいるが、1911年の治山事業開始は、河川整備・砂防事業とともに、下流の資本主義経済発展に必要な渇水・水害・土砂害防止を実質目的とした上流水源管理を確立させた。そのため、治山事業を含む森林政策は、「木に竹をついだ構造」とならざるを得なくなり、「森林水源涵養機能」はその矛盾を現在まで代表しているようにみえる。 矛盾が顕在化した例として、大正年間に岡山県ため池地帯で多数発生した森林放火事件を取りあげる。これは、農民が涵養機能を明確に否定していた事実を示している。この対立関係は。平田・山本論争として知られているが、竜ノ口山森林理水試験は、農民の経験的知識の妥当性を科学的に実証した。本発表では、この歴史を基に、森林政策の「木に竹構造」を見直す必要性について議論する。
著者氏名 ○谷誠
著者所属 元京都大学農学研究科
キーワード 水源涵養機能, 農村生活の森林依存, 水源森林の放火事件, 諸国山川掟, 木に竹を接ぐ森林政策
Key word Enhancement of water resources, Dependence of rural life on forests, Arson incidents of headwater forest, Law policing mountain rivers, Forest mangement like sewing a fox's skin to the lion's