第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S5. 福島第一原子力発電所事故の生物影響―何が起こり、何が起こらなかったのか―[Biological effects of the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant Accident – What happened and what Did Not]

日付 2024年3月8日
開始時刻 9:00
会場名 343
講演番号 S5-5
発表題目 福島に住むことになったいち研究者が見たこと、考えたこと、取り組んだこと
A researcher who lived in Fukushima saw, thought, and worked on
所属 福島大学
要旨本文 福島第一原子力発電所の事故以来、放射能汚染に関する様々な問題が生じてきた。なかでも不安に起因すると思われる放射線影響の過大評価、目につく生物の異常が放射線と関連付けられる風潮、信頼性の乏しい論文に基づいて展開される非専門家による議論等は、福島において放射線影響に関するデータを取ることの重要性を痛感させるものであった。本講演では、帰還困難区域内を中心としたイノシシによる遺伝解析の結果を中心に紹介する。逸出した家畜ブタとイノシシの交雑の現状、急増したイノシシの遺伝構造、それらの知見を利用した遺伝的多様性の変遷について、ミトコンドリアDNAならびにマイクロサテライトマーカーによる解析した。これらの結果について、避難区域の設定という原発事故の間接的影響や放射能汚染の直接的影響について考察する。また、本企画シンポジウムの一連の講演でも明らかなように、福島における放射能汚染の実態や生物影響について多くの知見が蓄積されつつある。放射能汚染に対する社会的な認識や状況にも触れつつ、研究成果の公開や周知等の社会還元についても改めて考えていきたい。
著者氏名 ○兼子伸吾
著者所属 福島大学共生システム理工学類
キーワード 放射線, 生物影響, サイエンスコミュニケーション
Key word Radiation, Biological effect, Science communication