第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S5. 福島第一原子力発電所事故の生物影響―何が起こり、何が起こらなかったのか―[Biological effects of the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant Accident – What happened and what Did Not]

日付 2024年3月8日
開始時刻 9:00
会場名 343
講演番号 S5-3
発表題目 帰還困難区域内外に自生するアカマツのDNA酸化損傷レベルの比較
Comparative study of DNA oxidative damage on Pinus densiflora between inside and outside of difficult-to-return zone
所属 福島大学
要旨本文 2011年に発生した福島第一原子力発電所事故から12年が経過し,野生生物の放射線影響の研究は長期的な低線量慢性被曝の影響へと移りつつある.針葉樹では比較的早い時期から被曝による樹形異常の可能性が報告されてきた.最近では,アカマツで被曝量と低メチル化との関係を示唆する報告もある.動物の癌研究では,低メチル化は酸化ストレスによって引き起こされることが知られている.ここでは,事故に伴う低線量慢性被曝がアカマツのDNA酸化損傷を増加させるかどうかを明らかにするために,帰還困難区域内外で針葉と芽のDNA酸化損傷レベルを測定した.また,実験室で137Cs線源による照射実験を行い,照射線量とDNA酸化損傷の関係を調べた.針葉と芽のDNA酸化損傷レベルには帰還困難区域内外で有意差は見られなかった.また,実験室での照射実験でも,照射線量とDNA酸化損傷レベルの間に関連は見られなかった.本研究では,原発事故に伴う低線量被曝がアカマツのDNA酸化損傷レベルを上昇させる証拠は得られなかった.光合成由来の酸化ストレスに対処するための様々な抗酸化機能が,低線量被曝に由来する活性酸素を速やかに消去している可能性が考えられる.
著者氏名 ○水澤玲子1 ・ 兼子伸吾2 ・ 渡辺嘉人3
著者所属 1福島大学人間発達文化学類 ・ 2福島大学共生システム理工学類 ・ 3量子科学技術研究開発機構量子生命・医学部門
キーワード 福島第一原子力発電所, アカマツ, DNA酸化損傷
Key word Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, Pinus densiflora, DNA oxidative damage