第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S13. 変動環境下における大気‐森林間の物質交換と樹木の生理生態[Atmosphere-forest material exchange and tree physiological ecology under changing environment]

日付 2024年3月8日
開始時刻 14:15
会場名 332
講演番号 S13-1
発表題目 ケヤキの成木と苗木の葉におけるオゾン吸収速度の比較とその違いの解析
Comparison of stomatal ozone uptake in leaves of mature and seedlings of Zelkova serrata and analysis of the differences
所属 東京農工大学
要旨本文 本研究では、大気汚染物質であるオゾンの葉における吸収速度を決定する主要因である気孔コンダクタンス(gs)の推定モデルを、ケヤキの成木と苗木の葉を対象に作成し、それらから算出されるオゾン吸収速度の違いとその要因の解明を目的とした。東京農工大学府中キャンパスに生育するケヤキの成木(樹高約20 m)とポットに植えたケヤキの苗木(樹高1~1.5 m)の葉のgsを様々な環境で3成長期間測定した。得られたgsとその測定時における各気象要素などからJarvis型gs推定モデルを成木と苗木で作成し、葉のオゾン吸収速度を1成長期にわたって推定した。苗木のgs推定モデルで求めたオゾン吸収速度は、成木のそれに比べて低かった。この原因として、苗木ではgsの最大値が低いこと、春季におけるgsの増加が遅いこと、オゾンによってgsが低下しやすいことが考えられた。一方、苗木と成木のgsの光に対する応答は異なり、弱光下では苗木のgsが成木のそれより高かったが、強光下では成木で高いgsを示した。以上より、ケヤキの葉のオゾン吸収速度を推定する際には、樹体サイズの違いに伴うgsとその環境応答の違いを考慮する必要がある。
著者氏名 ○渡辺誠1 ・ 中寺美月2 ・ 遠藤渉3 ・ 大井菜ノ香2 ・ 八木田彩乃2 ・ 伊豆田猛1
著者所属 1東京農工大学大学院農学研究院 ・ 2東京農工大学大学院農学府 ・ 3東京農工大学農学部
キーワード ケヤキ, オゾン, ガス交換, 成木と苗木
Key word Zelkova serrata, ozone, gas exchange, mature tree and seedlings