講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付	2024年3月8日
開始時刻	ポスター発表
会場名	543
講演番号	PM-1（学生ポスター賞審査対象）
発表題目	アカマツ実生の生育を阻害するTrichoderma属菌の単離と病原性の評価 Evaluation of pathogenicity of Trichoderma hamatum strain PS-2 to Pinus densiflora seedlings
所属	東京大学大学院
要旨本文	Trichoderma属菌は、植物病原菌や材質腐朽菌に対する生物防除資材などとして知られているが、一部の種や系統には植物に対して病原性を示すものが含まれる。本研究では、土壌から分離したTrichoderma属の一菌株（PS-2株）が、アカマツ実生に対して病原性を示したことから、その種同定と病原力の評価を行った。形態観察とDNA バーコーディング (rDNA ITS、rpb2、tef1-α領域) の結果、PS-2株はTrichoderma hamatumと同定された。滅菌土壌を用いた培養系でアカマツ実生に対してPS-2株を接種したところ、根が褐変し、対照区と比較して地下部の伸長量と、地上部・地下部の乾重量が有意に低下した。また、病徴が確認された実生の初生根からはPS-2 株が再分離された。一方、アカマツ実生−根圏細菌−PS-2株による三者培養試験を行った結果、Paraburkholderia属細菌株の存在下では、PS-2株の感染率が低下し、病徴の発現が軽減もしくは抑止された。これらの結果から、T. hamatumにはアカマツ実生の根に対して日和見的に病原性を示す系統が存在することが明らかにされた。
著者氏名	○白川誠 ・ 松下範久 ・ 福田健二
著者所属	東京大学大学院農学生命科学研究科
キーワード	トリコデルマ, 根の褐変, 初生根, 根圏細菌, Paraburkholderia
Key word	Trichoderma, root browning, primary root, rhizobacteria, Paraburkholderia