第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

動物・昆虫部門[Forest Insects and Animals]

日付 2024年3月10日
開始時刻 ポスター発表
会場名 543
講演番号 PL-23
発表題目 東日本におけるカシノナガキクイムシの集団遺伝構造
Population genetic structure of Platypus quercivorus in eastern Japan
所属 森林総合研究所 北海道支所
要旨本文 カシノナガキクイムシとそれに随伴するナラ菌が引き起こすナラ類の集団枯損被害(ナラ枯れ)は全国各地に広がっている。本研究では、近年の東日本において被害地拡大をもたらしているカシノナガキクイムシの由来を調べるため、関東・東北地方におけるカシノナガキクイムシの集団遺伝学的解析を行った。MIG-seq法によりゲノムワイドなSNPs(一塩基多型)の情報を取得し解析を行った結果、関東から青森までの地域では少なくとも3つの遺伝的に異なるグループに由来するカシノナガキクイムシが各地でナラ枯れを引き起こしていたことが明らかになった。隣接する地域であっても最近の遺伝的交流がほとんどないカシノナガキクイムシ集団が、ほぼ同時期にナラ枯れを起こしているケースが一部で確認された。一方、同じ遺伝的グループが分布する地域では、地理的に離れた集団間でも遺伝的にはほぼ違いがみられず、急速な分布域の拡大があったことが示唆された。特に北東北では、最近新たに確認された被害地の集団はその南方に連なる既存被害地の集団と遺伝的にほぼ同一であり、カシノナガキクイムシの北上に伴いナラ枯れ被害地が北方へ拡大した可能性がある。
著者氏名 ○小林卓也1 ・ 上田明良1 ・ 滝久智2 ・ 逢沢峰昭3 ・ 伊藤昌明4 ・ 中村克典5 ・ 磯野昌弘5 ・ 尾崎研一1
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所森林昆虫研究領域 ・ 3宇都宮大学農学部 ・ 4青森県産業技術センター林業研究所 ・ 5国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所
キーワード ナラ枯れ, 集団遺伝解析, 分布拡大
Key word Japanese oak wilt, Population genetic analysis, Range expansion