講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付	2024年3月8日
開始時刻	ポスター発表
会場名	532
講演番号	PH-6（学生ポスター賞審査対象）
発表題目	シカ排除柵の内外におけるブナ成木の肥大成長量の比較 Comparison of stem growth of mature beech trees inside and outside of deer exclusion fences
所属	九州大学
要旨本文	九州山地のブナ林ではシカの採食により下層植生が減少し、ササの消失した林地ではブナの衰退が観察されている。衰退要因としてササ消失後の土壌侵食がブナの根系を露出させ、水欠乏を引き起こした可能性が報告されていることから、シカ排除柵（以下、柵）の設置は根系露出の防止を通じてブナの成長維持に有効な可能性がある。この可能性を検証するため、本研究では熊本県の白髪岳において、柵の内部（ササ残存）と外部（ササ消失）に生育するブナ16個体を対象に、肥大成長速度（BAI）、炭素安定同位体比から算出される水利用効率（iWUE）、及び樹冠下の土壌環境を比較した。柵外のブナのBAIは1960年から単調増加傾向にあったが、ササの減少・消失が顕在化した2000年以降は低下傾向に転じた。一方、柵内のブナのBAIは1960年から現在まで単調増加傾向を維持しており、柵の設置がブナの成長維持に有効なことが確認された。柵外のブナは根系が露出し、BAIとiWUEに負の関係があったが、柵内のブナでは根系は露出せず、BAIとiWUEに関係が無かった。このことから、柵の設置はササを維持することで根系露出等によるブナの水欠乏を防止し、ブナの肥大成長を維持すると考えられた。
著者氏名	○阿部隼人1 ・ 付東川1 ・ 佐藤忠道1 ・ 徳本雄史4 ・ 櫻井優樹5 ・ 兵藤不二夫3 ・ 片山歩美2
著者所属	1九州大学大学院生物資源環境科学府 ・ 2九州大学大学院農学研究院 ・ 3岡山大学学術研究院 環境生命自然科学学域 ・ 4宮崎大学研究・産学地域連携推進機構 テニュアトラック推進室 ・ 5宮崎大学大学院農学研究科 森林緑地環境科学コース
キーワード	九州南部, 植生保護, 年輪, スズタケ, ニホンジカ
Key word	southern Kyushu, vegetation protection, tree ring, Sasamorpha borealis, sika deer