第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 2024年3月10日
開始時刻 ポスター発表
会場名 532
講演番号 PH-41
発表題目 森林性低木ヤブコウジのアポミクシス
Apomixis in a forestry shrub, Ardisia japonica
所属 鶴岡高専
要旨本文 アポミクシスは減数分裂や受精無しで発生する胚を持つ種子生産である。植物群落の動態と遺伝的多様性を理解する上で、アポミクシス植物の繁殖生態を知ることは有意義である。アポミクシス性が示唆されているヤブコウジは東アジアの森林の林床に多く見られる矮性低木である。地下茎による栄養繁殖を行う他、鳥散布性の種子を形成する。私達はこの植物の空間遺伝構造を解析し、その群落は高いクローン多様性を持つが、巨大なクローン集団も作ることを見出した。本研究では、このような空間遺伝構造をもたらす繁殖の仕組みを探った。袋掛け実験により、ヤブコウジは自家和合性であることがわかった。また、発芽種子は胞子体アポミクシスに特徴的な多胚性を示した。マイクロサテライトマーカーを用いたジェノタイピングにより、ヤブコウジのアポミクシスは条件的であり、単胚性種子の実生は4割が他殖によるものである一方、多胚性種子の8割は有性生殖による実生を1つも作らないことがわかった。ヤブコウジの条件的アポミクシスは自殖による近交弱勢を防ぎ、多座遺伝子型を保持しながら、他殖による新規の多座遺伝子型を導入する働きをしていることが示唆される。
著者氏名 ○南淳1 ・ 中村悠香1 ・ 西村泰介2
著者所属 1鶴岡工業高等専門学校創造工学科 ・ 2長岡技術科学大学物質生物工学分野
キーワード アポミクシス, 有性生殖, クローナル植物, 林床
Key word apomixis, sexual reproduction, clonal plant, understory