第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 532
講演番号 PH-3(学生ポスター賞審査対象)
発表題目 シカの排除が樹木実生動態に及ぼす影響:密度依存性とニッチ分化に着目して
Effects of deer exclusion on tree seedling dynamics: focusing on density dependence and niche differentiation
所属 東京大学
要旨本文 シカの過剰な採食による下層植生の多様性の減少が多く記録されてきたが、シカを排除すると競争優位種の優占により植生が均質化することも知られている。植生の均質化は競争の緩和を促す負の同種密度効果によって低減されると考えられるが、高ストレス下では種の共存に寄与する正の他種密度効果も作用することが知られている。しかしシカの採食圧の有無で密度依存性の作用がどのように変化するかは不明である。本研究では、シカの過剰な採食圧及び排除下で樹木実生群集が均質化する過程を、実生動態の観点から明らかにすることを目的とした。東京大学秩父演習林に設置された30 m四方のシカ排除区と対照区において、2 m四方の方形区を5つずつ設定し、2018・2022・2023年に樹木実生の生残・成長を調査した。各調査間での個体の生存・成長について、一般化線形混合モデルを用いて周辺個体密度・環境の影響を検証した。群集全体ではシカの有無に関わらず負の同種密度効果が認められた。またシカの存在による正の他種密度効果が確認された。過剰な採食圧というストレス下でも他種の存在が種の共存に重要であり、種の減少が採食圧による植生衰退を加速させることが示唆された。
著者氏名 ○内藤英理香1 ・ 梅木清2 ・ 平尾聡秀3
著者所属 1東京大学農学部 ・ 2千葉大学大学院園芸学研究科 ・ 3東京大学大学院農学生命科学研究科
キーワード 植食圧, 実生更新, 種の共存
Key word Deer herbivory, Seedling regeneration, Species coexistence