第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 532
講演番号 PH-20(学生ポスター賞審査対象)
発表題目 多雪地スギ天然林の更新に枯死根株が果たす役割
The role of dead stumps in the regeneration in natural forest of Cryptomeria japonica in areas with heavy snowfall
所属 新潟大学
要旨本文 佐渡島のスギ天然林は雲霧帯に位置し、過湿状態であることや厚いリター層の影響で、多くの樹種にとって実生更新が困難な立地である。幹が折れて根株が残存している枯死根株は折れた木口が高さ方向の多様性に富むことや急斜面でも安定した基質であることから幹側面が土壌に接地している倒木よりもセーフサイトとして優位性を持つ可能性がある。そこで本研究では枯死根株の森林動態における役割を考察することを目的とした。スギ天然林100×100mプロットで木口直径30cm以上の全ての枯死根株上とその根株から半径10m以内に設置した2×2mの林床コドラートの植生調査を行った。また環境要因や基質調査(開空率、含水率、硬度、腐朽度、周囲長、垂直高、傾斜)を行った。クラスター分析の結果、枯死根株上と林床の種組成には違いがあり、前者ではスギ実生稚樹やナナカマド、後者ではエゾアジサイなどが、有意に多く出現した。両者は含水率で有意差がみられた。枯死根株の垂直高と含水率には負の相関があり、開空率や硬度なども土壌表面に比べて多様であった。根株着生樹種は過湿ストレスのために枯死根株上のみで生存していけることが示唆された。
著者氏名 ○井上大嘉1 ・ 本間航介2
著者所属 1新潟大学農学部 ・ 2新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター佐渡ステーション
キーワード 根株, マイクロハビタット, セーフサイト
Key word stump, microhabitat, safe site