第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 532
講演番号 PH-10(学生ポスター賞審査対象)
発表題目 クリの萌芽と潜伏芽の関係性について
Relationships between sprouting and epicolmic buds of Castanea crenata
所属 新潟大学院
要旨本文  樹木の萌芽能力は薪炭林施業に欠かせない性質だが、近年の里山林では母樹老齢化による萌芽能力低下が指摘され、この能力低下のメカニズムはまだ明らかになっていない。近年我々の研究グループでは、X線CT画像を用いてブナ科広葉樹内部の定芽の履歴を三次元で可視化することにより、萌芽能力の時系列での消長を計測する技術を開発した。本研究ではクリを対象とし、伐採による潜伏芽の動態調査と、X線CT装置を用いた潜伏芽の生産から消失までの履歴を追跡する調査を行い、萌芽再生能力の特徴を解析している。 放棄された里山林に更新したクリを2022年夏、2022年冬、2023年春に5個体ずつ高さ2mで伐採し、伐採前後の潜伏芽を観察したところ、春伐採の個体を同様に処理したブナ・ミズナラ・コナラと比較して、肉眼で観察可能な潜伏芽の数は少なく、伐採を行った年に確認された萌芽枝の数と潜伏芽の萌芽率も低かった。しかしクリは伐採前に観察できなかった樹皮下からの萌芽を伐採翌年に多数発生し、伐採の翌年までの間に潜伏芽の頂端分裂組織が旺盛に分裂して萌芽本数を増やしていることが示唆された。CT画像でこの予測を指示する結果が得られるかどうか解析中である。
著者氏名 ○石原奏1 ・ 本間航介2
著者所属 1新潟大学大学院自然科学研究科 ・ 2新潟大学農学部
キーワード X線CT撮影, バッドトレース, 薪炭林施業, 生残過程
Key word X-ray CT photography, bud trace, coppice forest management, demography