第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 2024年3月10日
開始時刻 ポスター発表
会場名 532
講演番号 PG-34
発表題目 炭水化物の季節変化から読み解く常緑広葉樹における繁殖戦略
Reproductive strategies in evergreen broadleaf trees unraveled by seasonal carbohydrate measurements
所属 国立研究開発法人森林研究・整備機構
要旨本文 木本植物は資源の供給と需要の非同時性に適応する形で貯蔵機能を進化させてきた。ただし高木では、特に繁殖に関わる炭素貯蔵動態の制御メカニズムが未解明である。本研究では、常緑広葉樹のアラカシ(Quercus glauca) と マテバシイ(Lithocarpus edulis)を対象に、当年生枝単位での各器官のデンプン濃度(St)と可溶性糖分濃度(SS)、炭素安定同位体比を2年間測定した。成長期には枝ではデンプンは検出されなかったが、葉では一定のStがみられた。冬期には耐寒性のために葉ではStの低下とSSの上昇が同時に生じた結果炭水化物総量は変化せず、翌春には逆にSSの低下に伴いStが上昇した。これらの結果は、炭水化物貯蔵の季節変化が気温の変化に対応しており、貯蔵動態は繁殖の影響を受けていないことを示している。成熟期を除いて種子ではデンプンは検出されず、種子の炭素安定同位体比は葉に比べて1.0‰高かった。その差は落葉広葉樹の場合(2.0‰)より小さく、新しい光合成生産物が種子の主要な炭素源であることを示唆している。当日は、常緑広葉樹と落葉広葉樹を比較して炭素資源に関わる繁殖戦略について考察する。
著者氏名 ○韓慶民1 ・ 壁谷大介1 ・ 稲垣善之1 ・ 川崎達郎1 ・ 佐竹暁子2
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 ・ 2九州大学大学院理学研究院
キーワード 照葉樹, ドングリ, デンプン, 安定同位体, フェノロジー
Key word lucidophyllous trees, acorn, starch, isotope, phenology