第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 2024年3月10日
開始時刻 ポスター発表
会場名 532
講演番号 PG-31
発表題目 九州山地のブナ林における土壌侵食による葉の生理学的特性への影響
Effects of soil erosion on leaf physiological characteristics in a beech forest in Kyushu, Japan
所属 神戸大学
要旨本文 九州南部のブナ群生地では、長期的なシカの植生採食により土壌侵食が生じ、根の露出にともないブナの肥大成長量が低下している。本研究では、九州大学宮崎演習林内の三方岳頂上付近にて同所的に生育するブナを対象に、先枯れしていた3個体を衰退木、先枯れのない3個体を対照木として、各個体の環境条件である根の露出度や土壌特性、および、成長に関わる生理機能として葉の水分特性や光合成特性や形態特性を比較した。衰退木は、下層植生の衰退以降に直径成長が低下した個体であり、根の露出度が高く、pHが低く、リターや腐植量が少ない土壌環境に生育していた。水分特性において、葉の浸透圧調節機能や膨圧維持機能を高めることで水ストレスに順応していたものの、衰退木では根の最大露出高が大きい個体ほど葉の萎れ点が低く水ストレスを受けていた。光合成特性において、衰退木では根の最大露出高が大きい個体ほど蒸散速度や光量子収率が低く、クロロフィル濃度は対照木よりも低かった。形態特性において、衰退木は対照木よりも葉面積や葉乾重が小さかった。シカの過採食が招いた土壌侵食によってブナの葉の生理機能が低下し、ブナの衰退に繋がっていることが示唆される。
著者氏名 ○東若菜1 ・ 小切壮仁1 ・ 杉本廉1 ・ 櫻井優樹2 ・ 徳本雄史3 ・ 阿部隼人4 ・ 久米朋宣5 ・ 片山歩美5
著者所属 1神戸大学大学院農学研究科 ・ 2宮崎大学大学院農学研究科 ・ 3宮崎大学研究・産学地域連携推進機構 ・ 4九州大学大学院生物資源環境科学府 ・ 5九州大学大学院農学研究院
キーワード 水ポテンシャル, 光合成, 蒸散, シカ食害
Key word water potential, photosynthesis, transpiration, deer overgrazing