第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

動物・昆虫部門[Forest Insects and Animals]

日付 2024年3月10日
開始時刻 9:30
会場名 332
講演番号 L1
発表題目 シカによって剥皮害を受けた直後のサラサドウダン幹表面の細胞形成
Cell recovery of Enkianthus campanulatus just after stripped by Sika Deer
所属 九州大学
要旨本文 長野県と山梨県に跨がる八ヶ岳連峰の横岳東側山麓に位置する八ヶ岳高原海の口自然郷は、サラサドウダンの群生地として知られ、樹齢100年以上と推定される巨木もある。しかし近年、シカによる樹皮の食害が増加し、貴重な巨木の食害、枯死などによる個体数の減少が深刻化している。これまでの現地調査から、多くのサラサドウダンが剥皮害を受けたが、剥皮後、樹皮が再生した幹が多く存在することがわかった。2021年5月上旬から9月上旬まで詳細に被害調査した結果、剥皮害後2週間で剥被部表面に新たな組織が作られていることがわかり、同年10月の調査では被害を受けた幹の約半数では、茶褐色を呈した薄層の樹皮状組織が再生されていた。本研究では、細胞レベルでの新たな組織の形成を詳細に観察するため、剥皮害直後から一日毎に幹の被害部表面組織をサンプリングし、幹表面の細胞を顕微鏡観察した。その結果、剥皮害から5〜6日後には、新たに形成されたと考えられる細胞が出現し、それ以降は同様の形態の細胞が増え続けた。11月にサンプリングした試料では周皮、もしくは外樹皮らしき組織の存在を確認した。
著者氏名 ○阪上宏樹1 ・ 後藤栄治1 ・ 油井雅昭2 ・ 和田正三3
著者所属 1九州大学大学院農学研究院 ・ 2(株)八ヶ岳高原ロッジ ・ 3東京都立大学大学院理学研究科
キーワード シカ, サラサドウダン, 樹皮, 剥皮, 再生
Key word deer, Enkianthus campanulatus, bark, stripping, recovery