第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

利用部門[Forest Engineering]

日付 2024年3月10日
開始時刻 10:15
会場名 432
講演番号 K5
発表題目 車両系林業機械の走行が走行跡地に植栽したスギの活着と成長に及ぼす影響
Effect of traveling with tracked forestry vehicle on survival and initial growth of sugi planted in the travelled sites
所属 富山県農林水産総合技術センター森林研究所
要旨本文 立木の伐採・搬出作業にともなう林業用装軌車両の走行が,走行後の跡地に植栽したスギ苗木の生育に及ぼす影響を明らかにするため,スギ人工林を皆伐した2か所の調査地に,車両の走行回数が異なる複数の試験区を設定した。車両の走行によって土壌が撹乱され,剥落・泥濘化した調査地では,未走行の区画と比較して,苗木の活着率に顕著な差は生じなかったものの,植栽後3年間の苗木の樹高および直径成長量は,走行回数が増えるほど抑制される傾向が得られた。一方,土壌が一様に沈降し,圧密化した調査地では,成長の抑制は認められず,むしろ未走行の区画と比較して成長量が増加した区画も見出された。これらの結果から,植栽した苗木の成長は,表層の土壌がどの程度保持されているかによって,大きく異なることがわかった。下層植生は走行によって一旦消失し,以降は徐々に回復したが,苗木と競合する他の植物が衰退するよりも,苗木の生育に必要な,養分に富んだ表層の土壌が失われる方が,その影響ははるかに大きいと考えられた。また,試験の条件付けに用いた車両の走行回数は,過度な撹乱を防ぐための有効な指標になる可能性が示唆された。
著者氏名 ○松浦崇遠 ・ 図子光太郎 ・ 相浦英春 ・ 大宮徹
著者所属 富山県農林水産総合技術センター森林研究所
キーワード 林業機械, 土壌の撹乱, スギ, 活着, 初期成長
Key word forest machinery, soil disturbance, Japanese cedar, survival, initial growth