第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 2024年3月10日
開始時刻 11:15
会場名 443
講演番号 G5
発表題目 雄性不稔遺伝子MS1を変異させたゲノム編集スギの性質
Characterization of genome-edited sugi trees with the mutated Male Sterility 1 (MS1) gene
所属 森林総合研究所
要旨本文 CRISPR/Cas9法などのゲノム編集技術を用いれば、生物の遺伝子を変異させ、その性質を変えることができる。例えば、スギのCjACOS5遺伝子をゲノム編集すると、スギを人工的に無花粉(雄性不稔)化することが可能である(Nishiguchi et al., Sci. Rep. 2023)。一方、CjACOS5以外にも無花粉スギの原因遺伝子の一つとしてMS1遺伝子が同定されている。本研究では、有花粉スギのMS1遺伝子をゲノム編集すれば無花粉スギに変わるのではないかと予想し、実験を行った。MS1遺伝子のDNA配列からCRISPR/Cas9法の標的配列を選抜し、CRISPR/Cas9ベクターを構築した。アグロバクテリウム法を用いてベクターをスギの不定胚形成細胞に導入し、遺伝子組換えスギを作出した。遺伝子組換えスギのMS1遺伝子には欠失変異や挿入変異が生じており、ゲノム編集スギとなっていた。非遺伝子組換えスギおよびゲノム編集スギにジベレリンを散布し、着花を誘導した。非遺伝子組換えスギの雄花では花粉が作られていたが、ゲノム編集スギはどれも無花粉になり、MS1遺伝子に変異が生じると雄性不稔になることが明らかになった。
著者氏名 ○西口満1 ・ 丸山E.毅1 ・ 宮澤真一1 ・ 藤野健2 ・ 笠原雅弘2 ・ 重信秀治3 ・ 山口勝司3 ・ 上野真義1
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域 ・ 2東京大学大学院新領域創成科学研究科 ・ 3基礎生物学研究所超階層生物学センター
キーワード CRISPR/Cas9, ゲノム編集, スギ, 挿入変異・欠失変異, 無花粉スギ
Key word CRISPR/Cas9, genome editing, Cryptomeria japonica, indel mutation, pollen-free sugi trees