第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

造林部門[Silviculture]

日付 2024年3月10日
開始時刻 14:30
会場名 342
講演番号 E11
発表題目 秋田県生保内ブナ施業指標林における47年間の天然更新過程
Natural regeneration process for 47 years of a Fagus crenata forest in the Obonai Experimental Forest, Akita prefecture
所属 元森林総合研究所
要旨本文 1970年代を中心に皆伐母樹保残法によるブナ天然更新施業が高標高・豪雪地帯で実施されたが、その更新成否は不確実性が高い。それを左右する要因として、ブナの結実豊凶と伐採のタイミングが重要と指摘されている。ブナが大豊作であった1976年に伐採が行われた秋田県の生保内ブナ施業指標林では、密なチシマザサ林床にもかかわらず、翌年に発芽したブナ実生が高密度で定着したことが報告されている。本研究はこの試験地における伐採後47年間の更新過程について解析した。ここでは伐採前にササが全面刈払いされた。50m×50mのプロットを設置し、伐採の22年後、35年後、47年後に胸高直径と階層を測定した。伐採47年後の胸高以上のブナの密度は約2100本/haと高かった。林冠に達した更新木は500本/haあり、そのうちブナが35%、ウダイカンバ18%、ホオノキ18%、コシアブラ18%を占めた。ブナ優占パッチもみられたが、その広がりは局所的だった。この試験地では多樹種で構成される後継林が成立し、ブナは最も優占していたが、結実と伐採のタイミングが合っていたにもかかわらず純林状のブナ林の再生には至っていないと評価される。
著者氏名 ○杉田久志1 ・ 髙橋利彦2 ・ 杉木緑3 ・ 八木橋勉4 ・ 酒井敦5 ・ 野口麻穂子5 ・ 直江将司5 ・ 澤田佳美5 ・ 神崎護6
著者所属 1元森林総合研究所 ・ 2木工舎「ゆい」 ・ 3元岩手大学大学院農学研究科 ・ 4国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所森林植生研究領域 ・ 5国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所 ・ 6元京都大学
キーワード 天然更新, ブナ, ササ, 種子豊作, 長期モニタリング
Key word natural regeneration, Fagus crenata, dwarf bamboo, masting, long-term monitoring