No.53 現在に続く「岩手木炭」の伝統的な生産技術
げんざいにつづくいわてもくたんのでんとうてきなせいさんぎじゅつ
番号 | No.53 |
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登録年度 | 2024年度 |
認定対象 | 築窯および製炭に関する技術体系 |
分類・形式 | 技術体系 |
成立年代 | 1906年~1956年 |
所在地 | 岩手県盛岡市他 |
所有・管理者 | 一般社団法人 岩手県木炭協会 |
岩手県は木炭、特に黒炭の生産量が全国の約4割を占め(2023年度現在)、「岩手木炭」「岩手切炭」は農林水産省の地理的表示保護制度(GI)に登録されている。岩手木炭の品質の高さの背景には歴史的な取組がある。県内では明治後期から大正期にかけて山村における現金稼得手段として製炭業が普及し、戦後は品質と収炭率の向上を目的として統一窯の開発が行われ、昭和31(1956)年、築窯技術の集大成である「岩手窯」、続く「岩手大量窯」が完成し、岩手木炭協会を中心に技術指導・普及が進められた。大正10(1921)年には全国に先駆けて県営木炭検査を実施、この検査は昭和49(1974)年まで継続された。今日では平成2(1989)年以来木炭品評会が開催されており、生産者の技術向上等に役立っている。一連の製炭技術向上への取組や公営検査等の生産者・業界団体・行政による品質向上への取組の総体に後世に引き継がれるべき林業遺産としての価値が認められる。
なお、岩手木炭の発展に寄与した人物として明治38(1905)年凶作の際広島県から招かれた楢崎圭三氏がいる。彼は築窯技術と包装調整、しいたけ養成法の伝習を行ったとされ、氏の功績を称える石碑が紫波町の山祇神社境内に設置されている。
リンク 岩手木炭協会
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岩手窯正面 (岩手県木炭協会撮影)
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木炭の充填器 (岩手県木炭協会撮影)
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木炭品評会入賞木炭の一例
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2024年現在の岩手県内の炭窯数(市町村別)(岩手県木炭協会の調査をもとに岡田菜月作成)
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岩手木炭の鉄路による出荷(岩手木炭協会所蔵)
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築窯作業のようす(岩手木炭協会所蔵)
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楢崎圭三翁顕彰碑(岡田菜月撮影)