No.16 若狭地域の里山における熊川葛の生産技術

わかさちいきのさとやまにおけるくまがわくずのせいさんぎじゅつ

番号 No.16
登録年 2015年
認定対象 若狭地域の里山における熊川葛の生産にかかる技術体系
分類・形式 技術体系
成立年代 江戸時代(17世紀~)
所在地 福井県三方上中郡若狭町(中部地区)
所有・管理者 熊川葛振興会

熊川葛の原料となるのは、主に福井県南部(若狭地域)周辺に自生する葛根である。当地は葛の生育に適し、良質な葛根がとれることから、熊川地区で生産された葛粉は17世紀ごろより京都で売買され、純白で、きめが細かく良質であるとして京料理や菓子の材料、薬などとして珍重されてきた。かつて葛根掘りは冬季の農家の仕事であり、1930年頃までは、山に入って人の背丈ほどもある葛の根を掘り起し、葛粉の粗製品(玉葛)を作ることを生業としている者もいた。葛の蔓は樹木に巻き付いて成長を阻害する原因ともなっていたことから、当時は葛根をどこの林野で掘っていても咎めないという暗黙のルールがあったとされる。
熊川葛は手作業により掘り起こされた後、葛根に含まれるでんぷんの発酵を抑えるために、11月から3月の極寒期にのみ、近畿地方で最も水質が良いとされる清流北川の水を使用した「寒晒し」と呼ばれる作業を通じて、不純物を取り除かれ純白無垢な葛となる。現在、この江戸時代からの伝統製法を守りながら、地元産の葛により熊川葛を生産しているのは、熊川葛振興会のみとなっている。こうした近世からの典型的な山野利用、技術、品質を現代にとどめる対象であることから、林業遺産として選定する。

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