No.15 若狭地域に継承された研磨炭の製炭技術

わかさちいきにけいしょうされたけんまたんのせいたんぎじゅつ

番号 No.15
登録年度 2015年度
認定対象 若狭地域に継承された研磨炭の製炭にかかる技術体系
分類・形式 技術体系
成立年代 明治時代
所在地 福井県大飯郡おおい町(中部地区)
所有・管理者 名田庄総合木炭生産組合
木戸口武夫

ニホンアブラギリを主な原木とする研磨炭は、漆器の表面研磨をはじめ、金属工芸品や精密機械、光学レンズといった工業用研磨にも使用される木炭の一種であり、特に曲面の研磨に優れていることから、他の研磨材では代用できないものである。
研磨炭は、明治10年頃に駿河漆器の生産過程でアブラギリを原料とした炭の有用性が発見され、静岡県内で改良が進み「駿河炭」の名で盛んに生産されてきた。しかし、大正時代に静岡県内での生産者が途絶え、以降、江戸時代から搾油のために二ホンアブラギリ栽培を進め、原木が豊富にあった福井県の若狭地域での生産が中心となった。
しかし、戦後のエネルギー革命等の影響を受け、現在は若狭地域在住の木戸口武夫氏が、全国唯一の研磨炭の商業生産者となっている。良質な研磨炭を生産するため、原料確保(選木、伐採、搬出)も全て木戸口氏自身の手で行われており、駿河炭の伝統技術を現在に伝えると共に、高度な技術体系に裏付けられた森林資源活用の貴重な実例となっている。その希少性とあわせ、日本の伝統文化に貢献する林業技術としてきわめて重要な価値を有することから、林業遺産として選定する。

 

シリーズ林業遺産紀行:若狭地域に継承された研磨炭の製炭技術 

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