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Journal of Forest Research, Vol.26, No.2(2021年4月)

種類: 原著論文/Socioecnomics, Planning, and Management

Title: Identifying the stimulus of visual perception based on Eye-tracking in Urban Parks: Case Study of Mellat Park in Tehran

巻頁: J For Res 26 (2): 91-100

題名: 都市公園におけるアイトラッキングに基づいた視覚刺激の特定:テヘラン・メラット公園の事例研究

著者: Yasaman Gholami,Seyed Hassan Taghvaei,Saeid Norouzian-Maleki,Rouhollah Mansouri Sepehr

所属: Shahid Beheshti University, Iran

抄録: Urban parks that provide the context for relationships between people and nature could be good cases for studies and analysis of visual perception in the everyday landscape. The main goal of the research is to evaluate the people's attention to the primary factors and landscape elements in urban parks. Accordingly, out of 59 regional and trans-regional parks in Tehran, ten major parks were selected as case studies. The main elements of the landscape were extracted and classified based on the Fundamental Values and Factors of Landscape (FVFL). An experimental study was designed to track the eye movement of park visitors, using portable eye-tracking glasses. The results showed that the most effective motivation during visual perception in the experiment was human-made factors with an average of 59.12% of total fixation duration. Besides, the average of fixations duration on natural factors, human activities, and behavioral factors was 20.65% and 20.23%, respectively.

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2021.1876286

種類: 原著論文/Forest Environment

Title:Arbuscular mycorrhizal fungi facilitate the uptake of radiocesium by Eleutherococcus sciadophylloides (Araliaceae) - a pot-scale and field survey -

巻頁: J For Res 26 (2): 101-109

題名: アーバスキュラー菌根菌がコシアブラ(Eleutherococcus sciadophylloides)による放射性セシウム吸収を促進する -ポット実験とフィールド調査-

著者: 竹中千里,福士彰久,松田陽介

所属: 名古屋大学大学院生命農学研究科

抄録: 福島第一原発事故で放出された放射性セシウム137Csによる汚染は、特に森林生態系に深刻な影響を与えている。ファイトレメディエーションによる除染は、土壌の掘削除去等の方法に比較して、生態系への攪乱が少ない。コシアブラ(Eleutherococcus sciadophylloides)は137Cs蓄積能力の高い木本植物であるが、その吸収メカニズムは明らかではない。本研究では、コシアブラによる137Cs吸収におけるアーバスキュラー菌根菌(AMF)の寄与を明らかにすることを目的として、フィールド調査およびポット実験を行った。温室でのポット実験では、AMF菌糸の関与を確認するために、メッシュで根圏と区切った構造のポットを用いた。さらに、根圏におけるカリウムの存在が137Cs吸収と関わっていることから、カリウム(K)存在下でのコシアブラによる137Cs 吸収へのAMFの関与も調べた。フィールド調査における半定量的な解析では、コシアブラの細根中の137Cs濃度とAMF感染率に有意な正の相関が認められた。K処理をしたポット実験では、コシアブラによる137Cs吸収へのAMF菌糸の関与が確認され、また根圏へのK処理はAMF感染に伴う137Cs吸収の増加が認められた。これらの結果は、コシアブラを用いた137Csのファイトレメディエーションの効率化にAMF感染とK処理が重要であることを示唆している。

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2021.1881229

種類: 原著論文/Silviculture and Plant Sciences

Title: Comparison of inter-annual variation in net primary production among three forest types in the same region over 7 years

巻頁: J For Res 26 (2): 110-115

題名: 同一地域の異なる3林分における7年間にわたるNPPの経年比較

著者: 加藤夕貴,友常満利,塩手文也,小山悠太,小泉博,吉竹晋平

所属: 早稲田大学先進理工学研究科

抄録: 優占種の違いは森林生態系の炭素収支に影響を及ぼすと考えられているが、同一の気候や土壌条件においてこれを検討した例は少ない。本研究では、同一地域に存在する優占種の異なる3林分において純一次生産量(NPP)を7年間に渡って測定・比較することにより、優占種の違いがNPPやその経年変動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。浅間山南麓の同一地域にあるコナラ林、カラマツ林、アカマツ林を調査地とし、2012年から2018年における地下部リターフォールを除くNPPを、バイオメトリック法により算出した。地上部リターフォール(LF)はリタートラップ法により測定し、地上部バイオマスの増加量(SI)については既存の直径-重量のアロメトリー関係式に基づいて算出した各個体バイオマスの年間増加量の和として求めた。LFの経年変動には強い台風が調査地を通過した年による一時的なLFの増加が反映されていたが、樹種によって台風による影響の受けやすさには違いがあり、カラマツ林やアカマツ林はコナラ林よりもその影響を強く受けていた。LFSIの和として示されるNPPの経年変動パターンは3つの林分で異なっていたが、これは主にSIの経年変動の違いにより説明された。コナラ林、カラマツ林、アカマツ林における地下部LFを除く7年間の平均NPPMgC ha −1 year - 1)は、それぞれ 6.0±0.50, 5.2±0.44, 6.7±0.40となった。本研究の結果、同一地域においても、森林の優占種の違いはNPPやその主要構成要素であるLFSIの値や経年変動パターンに無視できない影響を及ぼしていることが示された。

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2020.1857006

種類: 原著論文/Silviculture and Plant Sciences

Title: Photosynthetic response of young oaks to biochar amendment in field conditions over 3 years

巻頁: J For Res 26 (2): 116-126

題名: 野外環境でのバイオチャー散布に対する3年間にわたるコナラ若木の光合成応答

著者: 棚澤由実菜,友常満利,鈴木武志,小泉博,吉竹晋平

所属: 早稲田大学大学院先進理工学研究科

抄録: バイオチャーとは生物由来の有機物を低温炭化させたものであり,これを土壌に散布することで植物の炭素固定能が向上し,結果として大気からの炭素隔離機能を強化することができるといわれている.本研究では,実際の森林生態系の林床バイオチャーを散布し,樹木の光合成に及ぼす影響を3年間にわたって明らかにした.野外に生育するコナラ若木の周りにバイオチャーをそれぞれ051020 Mg ha-1C0C5C10C20)散布したところ,最大光合成速度(Pmax)がC5C10で増加したが,C20での増加は見られず,適正散布量があることが示唆された。光合成生理活性の指標である最大カルボキシル化速度(Vcmax)と最大電子伝達速度(Jmax)はPmaxとの間に有意な正の相関を示し,光合成生理活性の向上によって光合成速度の増加がもたらされていることが示された.葉の重要な形質である気孔コンダクタンス(gc),面積当たりの葉乾重量(LMA),葉内元素濃度(NMgS)もPmaxと有意な正の相関を示したことから,バイオチャー散布による葉形質の改善が光合成速度の増加に寄与していると考えられた.一方,これらの光合成能の向上幅は年々小さくなったことから,バイオチャーの影響は時間経過に伴って徐々に消失すると考えられた.以上のことから,森林へのバイオチャー散布は葉形質の改善にを通してコナラ若木の光合成を増加させること,しかしその影響は年々減衰していくことが明らかとなった.

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2020.1866231

種類: 原著論文/Silviculture and Plant Sciences

Title: Genome-wide analysis of BES1/BZR1 transcription factors and their responses to osmotic stress in Ammopiptanthus nanus

巻頁: J For Res 26 (2): 127-135

題名: Ammopiptanthus nanusにおけるBES1/BZR1転写因子のゲノムワイド解析と浸透圧ストレス応答

著者: Lei Ding,Xin Guo,Kexin Wang,Haowan Pang,Yuan Liu,Qingqing Yang,Fengling Fu,Wanchen Li,Haoqiang Yu

所属: Sichuan Agricultural University, China

抄録: BES1/BZR1s are plant-specific transcription factors and play crucial roles in plant growth, development and response to environmental stress. The Ammopiptanthus nanus (A. nanus) is a relict-xerophyte shrub and tolerates various of abiotic stimuli. However, few genes are identified from A. nanus. To date, the information and function of the AnBES1/BZR1s remains unknown. In the present study, we genome-wide analysed the AnBES1/BZR1s of A. nanus and characterized their properties through sequence analysis and expression profiling against osmotic stress. In total, eight AnBES1/BZR1s were identified from the genome of A. nanus. The most of AnBES1/BZR1s had only one intron. Cis-acting element analysis showed that there were a lot of stress and hormone-responsive elements in the promoter of AnBES1/BZR1s. The phylogenetic tree showed that the AnBES1/BZR1s were clustered into two subfamilies, and shared similar motifs composition and conserved domains in a different subgroup. Two AnBES1/BZR1s (AnBES1/BZR1-1 and -3) were highly expressed in A. nanus. Moreover, the AnBES1/BZR1-3 and -5 were upregulated by PEG and NaCl treatment, respectively. The identification of AnBES1/BZR1s should enable us to further functional study of the AnBES1/BZR1s in A. nanus.

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2020.1867293

種類: 原著論文/Forest Health

Title: Rapid detection of Passalora sequoiae causing needle blight on Japanese cedar

巻頁: J For Res 26 (2): 136-142

題名: スギ赤枯病菌Passalora sequoiaeの迅速検出

著者: 安藤裕萌,升屋勇人

所属: 森林総合研究所きのこ・森林微生物研究領域

抄録: 子嚢菌類のPassalora sequoiaeによって引き起こされる赤枯病は、日本のスギ苗木生産において経済的に重要な病害である。再造林施業に向けたスギ苗木の増産に伴い、苗畑におけるスギ赤枯病の被害拡大が懸念されている。しかし、目視による診断では、症状が類似する他の病害と誤診される可能性がある。そのため、本病の蔓延を防ぐために、正確で迅速な分子診断技術の開発が必要である。本研究では、PCR法およびリコンビナーゼポリメラーゼ増幅法による検出方法を検討した。それぞれの検出に用いる種選択的プライマーの設計を行い、実験室で培養した病原菌株および赤枯病に罹病したスギ針葉から本病原菌を迅速に検出することに成功した。本研究で確立された検出手法は、スギ赤枯病の防除と管理に貢献すると期待される。

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2021.1882046

種類: 原著論文/Forest Health

Title: Females invest more energy in flight: flight characteristics of Platypus quercivorus (Murayama) revealed by a flight mill

巻頁: J For Res 26 (2): 143-151

題名: フライトミルによって明らかになったカシノナガキクイムシの飛翔特性

著者: Pham Duy Long,伊東康人,岡田龍一,池野英利,山崎理正

所属: 京都大学大学院農学研究科

抄録: 飛翔分散は樹皮下穿孔性キクイムシ,養菌性キクイムシの生活史において重要なプロセスである.キクイムシの飛翔距離には個体間で大きなばらつきがあることが先行研究によって示されているが,ばらつきの要因は種によって異なる.雄が寄主を探索し雌は雄が見つけた寄主に飛来するなど,飛翔の生態的な役割が雄と雌で異なる場合には,飛翔距離に及ぼす要因も雄と雌で異なるかもしれない.本研究では,病原菌を媒介することでナラ枯れを引き起こすカシノナガキクイムシ(Platypus quercivorus)について,飛翔距離のばらつきをもたらす要因を探索し,各要因の影響に性差があるかどうかを評価した.昆虫の飛翔を室内でシミュレーションするフライトミルを用いて,カシノナガキクイムシの飛翔距離,飛翔時間,飛翔速度を測定した.飛翔速度は一定ではないので初速と終速を測定し,そのうち初速を飛翔に配分されたエネルギー量の指標と見なした.その結果,飛翔距離は主に飛翔時間によって決まっていることが明らかとなり,雌雄ともに平均飛翔速度は 4.22 km/h と推定された.飛翔の初速と終速も飛翔距離に影響を及ぼしていたが,その様式には性差が見られた.雄の場合,初速と終速の両方が増加することで飛翔距離が長くなっていたが,雌の場合,主に初速が増加することで飛翔距離が長くなっていた.飛翔速度が飛翔距離に及ぼす影響に見られた性差は,生活史において飛翔が占める相対的な重要性が雌雄で異なることを反映しているのかもしれない.

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2021.1872761

種類: 短報/Forest Health

Title: First report of an ambrosia beetle, Platypus quercivorus, vector of Japanese oak wilt, in Hokkaido, northern Japan

巻頁: J For Res 26 (2): 152-154

題名: ナラ枯れを起こす害虫、カシノナガキクイムシの北海道初記録

著者: 尾崎研一,上田明良,徳田佐和子,和田尚之,北島博

所属: 国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所 北海道支所

抄録: カシノナガキクイムシは、ナラ類の集団枯死を引き起こすブナ科樹木萎凋病(ナラ枯れ)のベクターである。国内では、これまで本州、九州、四国に分布することが知られていたが、北海道からは生息記録がなかった。東北地方ではナラ枯れ被害地が北上しており、青森県で被害が急増したことから、北海道最南端にある20カ所の森林にフェロモントラップを設置し、カシノナガキクイムシの生息状況を調べた。その結果、4カ所から5個体(雄2個体、雌3個体)が捕獲された。北海道に自生するナラ類はいずれもナラ枯れ被害を受けやすいため、カシノナガキクイムシの生息状況を継続的に調査し、今後ナラ枯れが発生した場合には防除する体制を整備する必要があろう。

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2020.1860453

種類: 短報/Forest Health

Title: Beetles prefer steeply angled crevices: effects of wood surface structure on the initiation of hole boring by Platypus quercivorus​

巻頁: J For Res 26 (2): 155-160

題名: 樹幹表面構造がカシノナガキクイムシの穿孔開始に及ぼす影響

著者: 隈廣志,伊東康人,池野英利,山崎理正

所属: 京都大学大学院農学研究科

抄録: ナラ枯れは、カシノナガキクイムシ(Platypus quercivorus)が樹木に穿孔し、病原菌を媒介することによって引き起こされる。野外では、カシノナガキクイムシの穿入孔は樹皮の溝に多いことが観察されている。そこで本研究では、カシノナガキクイムシは樹皮の表面構造を認識したうえで穿孔位置を決定しているという仮説を立てた。この仮説を検証するため、室内実験を行った。角度と幅を変えた21パターンの溝を施したホワイトオーク(Quercus alba)の材をプラスチック容器内に設置し、そこにフライトミルで飛翔させたオス成虫を放ち、溝を認識するか、溝に30秒以上とどまるか、溝に穿孔するかを30分間観察し、記録した。一般化線形モデルを構築し、溝の角度と幅がこれらの行動に影響を及ぼしているかを調べたところ、溝の幅は溝への滞在行動のみに影響を及ぼしているのに対し、溝の角度は3つすべての行動に影響を及ぼしていることがわかった。穿孔行動についてはその傾向が弱かったが、3つの行動が起こる確率は溝の角度が小さいほど高まった。本研究の結果により、カシノナガキクイムシは樹幹表面構造の特徴、特に溝の角度に基づいて最適な穿孔位置を決定していることが示唆された。

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2020.1870064

種類: 短報/Forest Environment

Title: Spatial distribution of mercury accumulation in the surface soil of Japanese forests

巻頁: J For Res 26 (2): 161-167

題名: 日本の森林表層土壌における水銀蓄積の空間分布

著者: 近政孝哉,柴田英昭,浦川梨恵子,福澤加里部,廣部宗,稲垣善之

所属: 北海道大学大学院環境科学院

抄録: 水銀(Hg)は生態系や健康に影響を及ぼす可能性のある汚染物質の1つである.環境中における水銀の移動や挙動はダイナミックで複雑であるが,日本の森林生態系における理解は明確ではない.私たちはここに,日本中の42林分におけるリターおよび表層鉱質土壌に含まれる水銀濃度について国スケールでの初めての報告を行う.リター層および表層010 cmの鉱質土壌に含まれる水銀濃度の中央値は,それぞれ99(レンジ:56.7 - 297),145 (レンジ: 22.8 - 294) μg kg-1であり,50 cmの深さに向けて低下する傾向にあった.水銀と土壌有機炭素濃度の間には有意な正の相関関係があり,土壌中で有機炭素が水銀と強く結合していることを示唆していた.リター層では水銀と鉛濃度の間に有意な正の相関が認められた.部分的最小二乗回帰の結果から,土壌やリターの性質,大気中や地質中の水銀濃度,土壌pH,有機物特性,土壌物理性などのいくつかの土壌特性が,リター層や鉱質土壌に含まれる水銀濃度の国スケールでの空間パターンの効果的な説明要因であることが示された.それに加えて,大気水銀の影響はリター層でより強く,鉱質土壌では地質や土壌の影響がより強いことを見出した.これらの結果から,日本の森林リターや土壌に含まれる水銀濃度の空間分布は,国スケールでの地質や土壌環境下において大気汚染の影響を部分的に受けていることが示唆された.

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2020.1865510