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Journal of Forest Research, Vol.23, No.3(2018年6月)

種類: 原著論文/Socioeconomics, Planning, and Management
Title: Assessments of preprocessing methods for Landsat time series images of mountainous forests in the tropics
巻頁: J For Res 23 (3): 139-148
題名: 熱帯山岳林における時系列Landsat画像前処理方法の評価
著者: 志水克人、太田徹志、溝上展也、吉田茂二郎
所属: 九州大学大学院生物資源環境科学府
抄録: 近年、多数の衛星画像を用いた時系列解析が熱帯での森林変化モニタリングに利用されつつある。森林変化を高精度に推定するためには、時系列衛星画像に対する前処理が不可欠であり、衛星画像に存在する種々のノイズを補正することで異なる画像間の比較が可能になる。本研究では、ミャンマー熱帯山岳林を対象地として、時系列Landsat画像に対する前処理方法の評価を行った。前処理の評価は3種類の大気補正法、6種類の地形補正法、8種類の欠損値への補間法について行い、それぞれで最適な方法を検討した。大気補正では放射伝達方程式を利用したLEDAPS(Landsat Ecosystem Disturbance Adaptive Processing System)が、地形補正では非ランベルトモデルのC法が精度の高い最適な手法であると判断された。雲による欠損値への補間に対しては、一般化線形モデルが、Scan Line Correctorによる欠損値への補間に対しては、重み付き線形回帰を利用したモデルが最適な手法であった。森林変化の推定方法や対象地が異なれば最適な前処理方法も異なる可能性があるものの、本研究の結果を今後の前処理方法の選択に応用することが可能である。

種類: 原著論文/Socioeconomics, Planning, and Management
Title: Productivity of loaders and forwarders in Japanese forestry operation conditions
巻頁: J For Res 23 (3): 149-155
題名: 日本の伐採現場におけるローダとフォワーダの生産性
著者: シモン・ベリィ、吉田美佳、櫻井倫、酒井秀夫
所属: 東京大学大学院農学生命科学研究科
抄録: 日本における木材供給の増加に応えるためには、低コストな木材伐採が求められる。林業機械の生産性についての詳細な情報により、コスト的に最も効果的な機械を特定することが容易となる。そこで、イワフジGS-65LJV ローダ (GS65)と2台のイワフジGS-90LJV ローダ (GS90)、IHIフォワーダF801 (F801) 、モロオカMST800VDL フォワーダ (MST800) による間伐現場(サイト1)と、GS90、KETO 150 Ecoプロセッサ(KETO150) 、モロオカMST1500VDLフォワーダ(MST1500) による皆伐現場(サイト2)において調査を行った。サイト1におけるGS65とGS90の荷下ろし時間に有意差はなかったが、GS65の積み込み時間は、作業条件が異なるものの、GS90の積み込み時間よりも有意に速かった。GS65は価格も安価であるため使用するのに望ましいといえる。サイト2において、積荷種類によりGS90とKETO150の生産性が左右されるが、GS90の方が安価なので、積み込みに使用するのには望ましい。F801はMST800やMST1500に比べて、わずかに積み込み時間を多く要するが、走行速度が大きいため、短距離運搬時以外で生産性が高い。GS65、GS90、F801、MST800、MST1500などの日本の大形フォワーダやグラップルローダは、小形のフォワーダやグラップルローダよりも生産性が高いといえる。

種類: 原著論文/Biology and Ecology
Title: Species diversity of woody recruits within Japanese cedar (Cryptomeria japonica) plantations established on grasslands: The effects of site conditions and landscape
巻頁: J For Res 23 (3): 156-165
題名: 草地に成立したスギ人工林における広葉樹稚樹の種多様性 -立地環境と林分配置の影響-
著者: 五十嵐哲也、正木隆
所属: 森林総合研究所
抄録: 草地由来の人工林では広葉樹の稚樹が少ないため, 生物多様性を保全するには, 特に注意が必要である.本研究では, 草地由来のスギ (Cryptomeria japonica) 人工林内の木本稚樹について, 最寄りのコナラ (Quercus serrata) 林からの距離を中心にした以下の4つの仮説を検討した.1) 稚樹の種数および出現頻度はコナラ林からの距離が遠くなるとともに減少する. 2) 距離の影響の程度は種の生活形や種子散布型によって異なる. 3) 木本稚樹の種数は撹乱その他の変数の影響を受けない. 4) 木本稚樹の種組成も距離とともに変化する.調査の結果, 種数および出現頻度はほぼ距離とともに減少しており, 仮説1は支持された.距離の影響の程度は鳥散布種よりも風散布種で強く、仮説2は指示された。さらに, 風倒や間伐などの撹乱による種数の増加はみられず、仮説3も支持された. 種組成に最も強く影響した変数は距離であり、仮説4も支持された.これらの結果は, 草地由来の人工林では, 森林由来の人工林に比べてスタンドレベルの施業によって生物多様性の増加を図ることは難しいことを示しており, ランドスケープレベルの管理が必要と推察される.

種類: 原著論文/Silviculture and Plant Sciences
Title: Significance and limitation of scarification treatments on early establishment of Betula maximowicziana, a tree species producing buried seeds: effects of surface soil retention
巻頁: J For Res 23 (3): 166-172
題名: 埋土種子によるウダイカンバの更新における掻き起し作業の重要性と制限要因:表層土壌を残す効果
著者: 山崎 遥、吉田 俊也
所属: 北海道大学環境科学院
抄録: ウダイカンバの初期の更新成績を、通常の掻き起こし作業と、表層土壌を残す3種の代替的な作業(表土戻し、ふるい落とし、刈払い)間とで比較した.実生の発生数は表層土壌を残す作業種間でも大きく異なっており、表土戻しと刈払いでは有意に増加したが、ふるい落としでは通常の掻き起こしよりも少なかった.このことは、作業種による土壌特性の違いと、ウダイカンバの水分要求性の高さによって説明できると考えられた.すなわち、実生の発生数は、土壌硬度が低く、かつ、土壌含水率が高い場合に最も高くなると見積もられた.一方、刈払いでは初年度に多数の実生が発生したにも関わらず、残された根茎から再生した下層植生による被圧によって、次年度の成長期終了時には密度が大きく低下していた.本研究の結果より、ウダイカンバの更新に最も適した作業は表土戻しであることが示唆された.表層土壌を残すこと自体は必ずしも実生の定着を促すとは限らず、その効果は、施工地の微環境や目的樹種の生理的特徴、他の植物種の回復の次第であることが明らかになった.

種類: 原著論文/Silviculture and Plant Sciences
Title: Ecological Response of Casuarina equisetifolia to Environmental Stress in Coastal Dunes in China
巻頁: J For Res 23 (3): 173-182
題名: 中国の海岸砂丘におけるトクサバモクマオウの環境ストレスに対する生態的反応
著者: Dezhi Chen, Gongfu Ye, Wei Gao, Longhui You, Sen Nie, Ya Ping Wang
所属: Nanjing University
抄録: Seasonal variations in Casuarina equisetifolia branchlet diameter, branchlet internode length, and branchlet length were investigated in plants at various distances from the coast in a Casuarina forest, using field studies and laboratory analysis. The branchlet traits of C. equisetifolia exhibited approximately linear change with increasing distance from the coast: the branchlet diameter became thinner, while the internode and branchlet lengths became longer. The change in branchlet traits was most evident at 0 to 20 m from the coast. There was little change in the distance from 40 to 80 m. The branchlets on trees in favorable habitats showed an increase in internode length and reduced diameter, while the branchlets in unfavorable habitats had reduced internode length but increased diameter in limited branchlet length. The spatial changes in C. equisetifolia branchlet traits appear to be an adaptation to the environment, in response to the effects of blown sand in the coastal front area. The results suggest that to maintain growth this species shows marked adaptability to the effect of blown sand.

種類: 短報/Socioeconomics, Planning, and Management
Title:  Recreational use of urban forest parks-A case study in Fuzhou National Forest Park, China
巻頁: J For Res 23 (3): 183-189
題名: 中国における都市型森林公園のレクリェション利用ー福建省福州国家森林公園を事例としてー
著者: 陳碧霞、祁新華、邱振勉
所属: 琉球大学農学部
抄録: 都市森林公園は、住民にレクリエーションと自然とのふれあい空間を提供している。本研究は、中国南部福州市にある都市森林公園の利用パターンを考察することが目的である。 2015年11月と2016年1月にアンケート調査を実施し、また、合計249人の公園訪問者に面接調査を行った。多くの回答者は、週末に家族と一緒に都市森林公園を訪問しており、大半の回答者が半日くらいの滞在であった。最も満足度の高いものとして評価されたのが、自然、森林景観と文化的資源景観(空気、水、植生など)である。一方、施設(駐車場と公園への交通手段)と公園のサービス(インタープリテイションと公園中の混雑)に対する評価は最も低かった。「世帯収入」と「家族構成」は、自動車による福州国家森林公園へのアクセスの意思決定に大きな影響を与えた要因だった。回答者の大部分は森林公園に6時間未満の滞在であったが、これは住民が、より健康でストレスの少ないライフスタイルを追求し、生活水準の向上やレジャーのために都市緑地の需要が高いことを示している。レクリエーション活動は穏やかで受動的なスタイルが主であり、積極的なスポーツや学習活動をする者は限られていた。本調査データは、中国の都市森林公園管理を改善するための効果的な管理計画の策定に役立つかもしれない。

種類: 短報/Biology and Ecology
Title: Environmental conditions for seed germination and seedling growth of Cinnamomum camphora (Lauraceae): the possibility of regeneration in an abandoned deciduous broad-leaved forest, eastern Japan
巻頁: J For Res 23 (3): 190-194
題名: クスノキの種子発芽と実生定着のための環境条件-アズマネザサが繁茂した放棄二次林における更新の可否-
著者: 亀山慶晃、中島宏昭
所属: 東京農業大学地域環境科学部
抄録: クスノキは古代から人間に利用されてきた有用植物であるが、それ故に、自然分布や更新特性には不明な点が多い。管理放棄によってアズマネザサが繁茂した落葉広葉樹二次林(神奈川県川崎市、早野梅ヶ谷特別緑地保全地区)に、毎年刈り取りを実施する刈り取り区と、一切の管理をおこなわない対照区を設置し、計9カ所のサイト(1 m × 1 mの方形区)で光合成有効放射吸収率、土壌含水率、地表面温度を測定した。各サイト120個のクスノキの種子を播き、発芽・成長の過程を4年間追跡した。解析の結果、種子の発芽率に対しては、光合成有効放射吸収率と土壌含水率が負の効果、地表面温度の変動が正の効果をもたらしていた。一方、実生の生存と樹高に対しては、光合成有効放射吸収率が負の効果、土壌含水率が正の効果をもたらしていた。対照区の実生は2年以内に全て死亡し、刈り取り区における実生の樹高は、ギャップ(135.0 cm)が他のサイト(26.6-51.8 cm)と比較して著しく大きかった。クスノキの種子は放棄二次林の林床でも発芽するが、アズマネザサの繁茂は発芽した実生の定着を妨げ、更新には定期的な刈り取りとギャップの存在が不可欠であることが示唆された。