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第127回日本森林学会大会・企画シンポジウム一覧

企画シンポジウムは,森林学に関する明瞭で簡潔にまとまったテーマをもったシンポジウムです。発表者は公募せずコーディネータが決定します。

S1 低コスト・省力的再造林に向けた個別要素技術の展開
Development on the silvicultural elemental technique for the future low-cost and labor-saving replantation system
S2 森林管理者と社会をつなぐ森林の教育・社会貢献活動のあり方-大学演習林からの再考-
Educational and social activities in forests as a bridge between forest management sector and society: re-thinking through university forests
S3 2016年問題-発電所は燃料の未利用木材を安定的に確保できるのか?-
A year 2016 problem: Can all power-generation plants secure fuel of unutilized forest biomass stably?
S4 生理部門特別セッション-樹木の成長と環境:講演会「樹木生理学の躓きとその先に見えるもの」とポスター1分紹介
Special session of the Tree Physiology Section "Tree growth and responses to environmental factors"
S5 林木育種において環境適応とどう向き合うか?-ゲノム、遺伝子発現及び表現型解析からの新たな知見-
How tree breeding does face against environmental adaptability? : new findings from genomics, transcriptomics, and phenomics
S6 様々な樹液流計測手法の適用・応用とその問題点
Various methods for measuring sap flow: discussion on the applicability and problems
S7 もう一つの森の主役・菌根:菌根を通して森を見る
Another leading part of the forest: mycorrhiza
S8 気候変動下における森林窒素循環の急激変化を生じるホットモーメントの解明
Hot moments of nitrogen cycling in forest ecosystems under climate change
S9 放置竹林問題の抜本的な解決とは?-近年の新たな対策と利用から考える有効性と課題-
What is a drastic solution for abandoned bamboo forest problems?
S10 技術教育、専門教育としての森林・林業教育-学校教育を中心に
Forests and forestry education as technical and vocational education; to focus on school education
S11 大気環境変化にともなう森林の生産性と分布の予測
Forest productivity and vegetation under changing atmospheric environment
S12 樹木根の成長と機能
Growth and development of tree roots

S1 低コスト・省力的再造林に向けた個別要素技術の展開
Development on the silvicultural elemental technique for the future low-cost and labor-saving replantation system

コーディネータ: 宇都木玄(森林総合研究所)、鹿又秀聡(森林総合研究所)

28日(予定)

趣旨: 国産材の利用拡大と齢級構成の平準化により主伐面積が増大する事を想定すると、農山村の創生のためには主伐によって得られる利益を最大化し、その後の地拵え-植栽-保育コストを最小化する必要がある。また若者の地域社会への参入のためにも、コスト面のみならず省力化された施業が必要となる。昨年度の森林学会では、低コスト再造林に向けてコンテナ苗研究に特化して議論を行った。コンテナ苗は育苗にかかる省力化のみならず、その早い初期成長の期待から、下刈り省力化の役割も負ってきた。一方多くの地域で裸苗に比較してコンテナ苗が極単な高成長を示すわけでは無い事も判明しつつある。こうした状況の中で低コスト・省力的再造林を考えるためには、苗に関わる要素以外にも、地拵え強度や下刈りの簡素化など解決すべき技術的課題が多く残されており、地域に応じたこれら個別要素技術の組み合わせによって最適な手法が開発されるべきであろう。またこれらが実現されなければ、地域が活性化する産業にはなれないであろう。本シンポジウムでは各地で展開される低コスト・省力化に関する個別技術研究を報告して頂き、地域における再造林技術のカスタマイズを検討する事を目的とする。

S2 森林管理者と社会をつなぐ森林の教育・社会貢献活動のあり方-大学演習林からの再考-
Educational and social activities in forests as a bridge between forest management sector and society: re-thinking through university forests

コーディネータ: 石橋整司(東京大学)、當山啓介(東京大学)、齋藤暖生(東京大学)

28日(予定)

趣旨: 1990年代以降、「持続可能な開発」、「地球環境の保全」というキーワードが社会全体に拡がっていく中で、都市の周囲に拡がる「森林」に対する意識が高まり、環境教育の場として期待されるようになった。たとえば大学演習林では、大学生、小中高校生そして一般市民に対する多様な森林教育・体験活動を「場」としても「プログラム」としても提供してきているが、社会の期待・要請は増え続けている。一方、森林の管理者側の人員・予算は縮小の一途をたどっている一方で安全管理上の課題に対して厳格な対応を要求されているなど、利用者を受け入れる際の管理者側の負担が増えている。そこで、森林管理者から見て「実現可能」かつ「効果的」な森林教育・社会貢献活動のあり方について、大学演習林を題材にあらためて議論したい。大学演習林が今後担うべき社会的任務とは何なのか、大学演習林が長年にわたり守り育ててきた森林を積極的に活用していくためには何が必要なのか、そして大学演習林にとって必要な「持続可能な教育・社会貢献活動の姿」について考えたい。大学演習林にとどまらず森林の教育・社会貢献利用を考えている多くの森林管理者にとって有効な指針が得られることを期待する。

S3 2016年問題-発電所は燃料の未利用木材を安定的に確保できるのか?-
A year 2016 problem: Can all power-generation plants secure fuel of unutilized forest biomass stably?

コーディネータ: 吉岡拓如(日本大学)、有賀一広(宇都宮大学)

28日(予定)

趣旨: 2012年にスタートした再生可能エネルギーによる電力の固定価格買取制度(FIT)では、未利用バイオマスには高額な買取価格(2014年度で32円/kWh(税抜))が設定された。FITを念頭に置いた木質バイオマス発電所の建設計画は、2014年4月末時点で81件であったが、このうちすでに稼働しているものを含め57件までが2016年中に稼働を予定しており、また81件のうち50件が未利用木材のみを、19件が一部に未利用木材を調達する計画となっている。すべての施設が稼働した場合、これまで年間2,000万m3発生してもそのほとんどが未利用であった森林バイオマスの乾燥重量を1,100万トンとして、およそ500万トンの需要が新規に発生すると見積もられている。32円/kWhという買取価格決定の際のモデルケースにおける年間チップ消費量は生重量で6万トン(10万m3に相当)、その集荷範囲は50 kmに設定されたが、この規模の計画が最も多いことからも、技術的・経済的に現実的な規模と考えられる。しかしこのまま発電所が乱立するようなことがあれば、かつて廃棄物系木質バイオマスで生じたような燃料の奪い合いになってしまうことは想像に難くない。
 現在建設中の施設でも稼働を控えすでに燃料確保の動きが活発になっているが、当初利用が期待されたD材ではなくC材を調達する地域が多く、未利用木材とチップ用原木との間で価格競争が生じている。2016年末までには多くの発電所で運転がスタートするが、未利用木材の供給が間に合わない可能性も十分に懸念され、燃料確保の見通しは予断を許さない状況にある。
 このシンポジウムでは、国内各地における未利用木材の供給ポテンシャルやコストに関して林業サイドから調査研究を報告するとともに、未利用木材の調達の現状や見通しを発電所サイドより提示することにより、森林バイオマス資源の適切な利用について議論を深め、2016年問題を可能な限り俯瞰的に理解することを目標としたい。

S4 生理部門特別セッション-樹木の成長と環境:講演会「樹木生理学の躓きとその先に見えるもの」とポスター1分紹介
Special session of the Tree Physiology Section "Tree growth and responses to environmental factors"

コーディネータ: 則定真利子(東京大学)、小島克己(東京大学)、斎藤秀之(北海道大学)、津山孝人(九州大学)

28日(予定)

趣旨: 講演会と生理部門のポスター発表の1分紹介からなる生理部門の特別セッションを企画します。
 生理部門では樹木の成長の仕組みを明らかにする研究に携わっておられる方々の情報・意見交換の場となることを目指します。キーワードとして以下の21語を掲げています:樹木生理、個体生理、生態生理、水分生理、光合成、呼吸、栄養成長、生殖成長、環境応答、ストレス応答、代謝、栄養、物質輸送、植物ホルモン、細胞内小器官、細胞壁、組織培養、形質転換、遺伝子発現、ゲノム科学、オミクス解析。個体から細胞・分子レベルまでの幅広いスケールの現象を対象とした多様な手法によるアプローチを含んでおりますので、これまでの研究分野の枠組みにとらわれることなく、さまざまなスケール・手法で樹木の成長の仕組みの解明に携わっておられる多くの皆様に生理部門での口頭・ポスター発表にご参加頂くとともに本シンポジウムにご参集を頂きたいと考えております。
 講演会では、「樹木生理学の躓きとその先に見えるもの」と題して、樹木生理学研究を進める上で直面する、遺伝的不均一性や二次代謝物による干渉など、樹木という材料に起因する問題を乗り越えるために必要な研究手法の工夫と、その結果として見えてきたものについて、3人の研究者にご披露頂きます。樹木葉の光合成の特性を研究している九州大学の津山孝人さん、遺伝子発現のゲノム網羅的解析を活用した樹木のストレス診断技術の開発に携わっている北海道大学の斎藤秀之さん、熱帯樹木の根圏低酸素耐性機構について研究をしている東京大学の山ノ下卓さんにこれまでの苦難とその先に見えてきたものについてご披露頂きます。
 1分紹介では、生理部門でポスター発表をされる方に発表内容を1分間でご紹介頂きます。大会での発表申し込みの締め切りの後に、生理部門でのポスター発表に発表申し込みをされた方々に1分紹介への参加を呼びかける予定です。

S5 林木育種において環境適応とどう向き合うか?-ゲノム、遺伝子発現及び表現型解析からの新たな知見-
How tree breeding does face against environmental adaptability? : new findings from genomics, transcriptomics, and phenomics

コーディネータ: 渡辺敦史(九州大学)、高橋誠(森林総合研究所)、高田克彦(秋田県立大学)

28日(予定)

趣旨: 森林の動態に対してその環境が与える影響は常に大きな関心事である。中でも林木の環境応答と生育特性の関係性は、気候変動、特に温暖化シナリオ上での生育適地の変化の推定と把握という観点のみならず、植栽種苗が発揮する炭素吸収固定能力の最大化という観点からも極めて重要な問題である。実際、林木育種において林業用樹種であるスギやヒノキ、アカマツ、クロマツでは、生育環境が成長等に与える負の影響を最低限にするため種苗配布区域が設定されており、異なる環境への種苗の移動が制限されている。最近、スギを中心に林木の環境応答に関する新たな観点からの知見が集積されつつある。GIS技術を用いて、数十年に亘るスギ植栽試験地(検定林)での膨大な生育モニタリングデータと全国の環境区分の統合により、種苗配布区域を越えて植栽された場合の成長特性への生育環境の影響をマクロな観点から捉えることを可能にした。この結果は、現行の種苗配布区域の妥当性の検証や気候変動による各クローンの生育適地を予測する観点で多くの示唆を与えるものである。また、スギ遺伝子情報の蓄積は、大規模遺伝子発現解析へと発展しており、光や温度など個別の環境応答に対し、生体内における遺伝子レベルでの動態の理解に寄与すると共に、異なる地域に植栽された同一クローンの一年を通じた遺伝子レベルからの発現データから、各器官における活動期と休眠期のon/offに影響する環境因子を明らかにした。遺伝子発現レベルだけでなく、標高が異なる地域への環境への適応性をゲノムレベルからアプローチすることについても検討が開始されており、環境適応に関するマーカー開発への道を切り拓くものと考えられる。本シンポジウムでは、これらの問題に取り組む若手から中堅の研究者に現在の成果を公表して頂き、聴衆と議論することで更なる研究展開への端緒となることを望む。

S6 様々な樹液流計測手法の適用・応用とその問題点
Various methods for measuring sap flow: discussion on the applicability and problems

コーディネータ: 飯田真一(森林総合研究所)、篠原慶規(九州大学)

28日(予定)

趣旨: 根系で吸水された水分は、樹液流として幹内を上昇し、葉の気孔から蒸散する。樹幹にセンサーを挿入して蒸散に対応した樹液流を検出する方法は樹液流計測手法と呼ばれる。森林科学の分野では、樹木の生理生態特性の把握、森林からの蒸散量の評価に基づく水資源量の把握、樹木の健全度の把握などの目的で樹液流計測が盛んに行われている。他方、森林科学以外の分野では、果樹の品質管理や樹木移植手法の検証などにも用いられている。このように、樹液流計測法は様々な目的で、数多くの研究に用いられている。一方で、樹液流計測センサーのキャリブレーション式の適用性や、樹幹内の樹液流速の空間的ばらつきなど、その適用に関していくつか課題が挙げられる。
 これまで、森林学会においても、防災部門や生態部門を中心として樹液流計測を適用・応用した成果が毎年、報告されてきた。しかし、その成果を俯瞰して議論する場がなかったため、個々の研究者間で行われてきた研究が十分に共有されてこなかった。それと同時に、様々な分野で問題となっている適用性に関する課題が十分に共有されていない。これらを共有し議論することは、樹液流計測法を用いている研究者だけでなく、これから自らの研究に樹液流計測法を活かそうと考えている研究者にとっても非常に有益であろう。
 そこで、本セッションでは、森林学会以外をメインフィールドにしている研究者も含め、樹液流計測法の適用事例について講演をしていただき、最新の知見について共有する。そして、それぞれの研究領域で課題となっている適用性に関する課題を挙げていただき、これらについて討論を行う。

S7 もう一つの森の主役・菌根:菌根を通して森を見る
Another leading part of the forest: mycorrhiza

コーディネータ: 奈良一秀(東京大学)、松田陽介(三重大学)、田中恵(東京農業大学)

28日(予定)

趣旨: 樹木のほとんどの細根には菌根菌と呼ばれる真菌類が共生しており、樹木の成長から生態遷移まで、菌根共生が決定的な役割を果たしています。日本森林学会においても、第116から126回大会まで菌根に関するテーマ別シンポジウムを実施し、関連研究者間で最新知見を共有してまいりました。この10年間、研究手法や解析技術の進展はめざましく、菌根共生の理解は大きく進みました。その結果、菌根が森の主役級の働きをしていることは、菌根研究者の間で共有されています。一方、菌根に関する知見を森林科学の他の分野へ発信する機会はこれまで設けられておらず、菌根は「よく分からない」、「自分の研究分野とは関係ない」と考える方が多いのも事実です。
 そこで第127回大会では、森林科学の幅広い研究者を対象にして、菌根の基礎から最新の知見までを分かりやすく伝える企画シンポジウムを開催します。まず、菌根共生とは何か、菌根菌が樹木の成長促進、実生定着や植生遷移に果たす役割などを紹介します。その後、菌根菌群集の多様性や構造特性、菌根菌個体群の遺伝構造や繁殖様式、林床植物と菌根菌ネットワーク、絶滅危惧樹木の保全と菌根菌、食用菌根性キノコ栽培への取り組みなどの講演を予定しています。菌根菌と共生しない限り樹木はほとんど成長できないことから、樹木生理、森林生態、樹病、土壌や物質循環などの基礎研究分野から、森林管理や施業計画などの応用分野まで、菌根共生の知見は今後不可欠なものになるでしょう。この企画シンポが多くの方々にとって菌根共生への理解を深めるよい機会となり、幅広い研究分野で菌根に関する知見が活用され、新たな研究展開が生まれることを期待しています。

S8 気候変動下における森林窒素循環の急激変化を生じるホットモーメントの解明
Hot moments of nitrogen cycling in forest ecosystems under climate change

コーディネータ: 舘野隆之輔(京都大学)、渡辺恒大(北海道大学)、柴田英昭(北海道大学)

28日(予定)

趣旨: 森林生態系の窒素循環は一次生産、養分保持、炭素固定、水質形成などの様々な生態系機能と密接に関連する。気候変動下において、森林生態系の窒素循環は、緩やかな温度上昇などに対して応答するとともに、短期間で急速な環境変化に対しても、さまざまな応答を見せることが予測される。急激な時間変化を示す短期間を「生物地球化学的ホットモーメント」と呼び、その変化パターンやメカニズム解明について、近年注目が集まっている。ホットモーメントは、春先の雪融け時や乾燥後の降雨時、夏季の高温乾燥時、集中豪雨時など、対象とする生物地球化学プロセスによって多様であるが、本企画シンポジウムでは、特に寒冷地域の休眠期と成長期の端境期における土壌環境や生物季節の急激変化に着目する。冬季に土壌凍結の生じる北海道東部の森林において、大規模な野外積雪除去試験を行い、冬季から融雪期にかけての土壌環境を実験的に操作することにより、冬から春期における窒素循環の短期的な急激変化と、それが成長期の生物生産や養分保持、環境保全機能にどのような影響を与えるのかについて、土壌窒素動態、土壌微生物、土壌動物、細根動態、植物生産、養分吸収、フェノロジー、樹液流など様々なプロセスについて、詳細な観測結果から検討を行う。また現地観測による応答予測を生態系モデリングに繋げる試みについても紹介する。本企画シンポジウムの最後の総合討論では、生物地球化学的ホットモーメント研究の今後の方向性や森林管理との関わりについて、様々な専門分野の発表者と会場の参加者が双方向で議論する場を設けたい。

S9 放置竹林問題の抜本的な解決とは?-近年の新たな対策と利用から考える有効性と課題-
What is a drastic solution for abandoned bamboo forest problems?

コーディネータ: 久本洋子(東京大学)

28日(予定)

趣旨: 放置竹林の問題は1980年代から徐々に知られるようになり、現在では広く一般に認知されるようになった。同時に、各地で自治体やボランティア団体等による竹林整備活動が行われている。また、研究者も放置竹林問題の解決に向けて様々な研究を進めてきた。例えば、2010年発行の森林科学58号では『拡がるタケの生態特性とその有効利用への道』という特集が組まれ、データが不十分であったタケ類の生態的特徴の新たな知見や、竹材利用に際しての伐出コストや施業方法の検討結果が報告されている。このようなこれまでの研究成果から、放置竹林問題の抜本的な解決には以下の2つの課題に取り組む必要があることが明らかになってきた。一つは「効率的で有効な駆除方法の検討」である。タケ類は地下茎で容易に再生し、一度稈を伐採するだけでは完全な駆除に至らないため、より簡便で効果的な手法が求められている。二つ目は「竹材の新たな利用方法の検討」である。竹林整備で伐採した稈は利用先が無く、林内に放置されるか燃やされることが多い。新たな竹材の利用方法が見いだされれば、ビジネスモデルの構築に繋がり、伐採と利用のサイクルが成立すると期待される。
 ここ数年で、この2つの問題に対する様々な実証研究や、竹材利用の実例が蓄積されてきた。そこで、本企画シンポジウムでは、①先進的に竹林問題に取り組んできた行政の主導的な取り組み、②具体的な伐採防除および薬剤防除の方法と生態系への作用、③大規模竹材利用の事例や工業的な竹の利用の実践について紹介する。以上の実例から新たな対策や利用方法の有効性を認識するとともに、放置竹林問題の抜本的な解決方法について参加者とともに議論したい。

S10 技術教育、専門教育としての森林・林業教育-学校教育を中心に
Forests and forestry education as technical and vocational education; to focus on school education

コーディネータ: 井上真理子(森林総合研究所)、枚田邦宏(鹿児島大学)、東原貴志(上越教育大学)

28日(予定)

趣旨: 日本森林学会では、2003年(第114回大会)から、森林や林業に関する教育をテーマとするセッションを設け、継続して研究発表を行ってきました。21世紀に入り、森林環境教育や木育などで、森林や林業に関心を高め、木とふれあう活動が盛んになっています。例えば、小学校での取り組みでは、毎年実施されている「学校の森子どもサミット」で、小学校10校以上から実践報告が行われています。
 近年は、森林に関する教育の中でも、特に次世代を担う専門的な人材育成に関わる専門教育が重視されています。「緑の雇用」事業の実施に加えて、フォレスター・プランナーなどの養成研修が実施され、専門的人材育成を行うための教育機関として林業大学校が新たに開校する動きもあります。
 そこで今年は、教育に関する研究(公募セッション)の中から「技術教育、専門教育」に焦点をあてた専門教育に関する企画シンポジウムを開催します。学校教育として行われている森林・林業の専門教育、技術教育について、校種を越えた議論ができればと思います。本シンポジウムでは、教育活動の実践者や行政担当者、日本木材学会所属の林産教育研究者の発表等を予定しています。大学や大学校、専門高校、中学校による教育内容や目的、教育課程の比較から、専門教育や技術教育のあり方、役割の違いを検討したいと思います。
 当日は森林教育の研究者のみならず、フォレスター等の専門的人材育成研修に関わる方や、研究成果の普及や教育活動に関心がある方、森林の研究者と学校教育関係者、人材育成の担当者など幅広い分野の方々と共に、これからの森林・林業の専門教育について議論する機会となればと思っています。

S11 大気環境変化にともなう森林の生産性と分布の予測
Forest productivity and vegetation under changing atmospheric environment

コーディネータ: 渡辺誠(東京農工大学)

28日(予定)

趣旨: 産業革命以降、化石燃料の消費拡大に代表される人間活動によって、森林を取り巻く環境は劇的に変化している。特に大気CO2濃度の増加やそれに伴う気候変動、窒素を始めとした酸性物質の沈着量の増加、PM2.5を始めとした微粒子、そして大気汚染物質である対流圏のオゾンが森林生態系に与える影響は世界的に懸念されている。たとえば今世紀末に予測されている濃度のオゾンによって多くの陸域生態系の生産性が30%以上低下する事がモデルシミュレーションから予測されている。またドイツで行われた欧州ブナ成木を対象とした8年間に渡るオゾン暴露実験によって、幹の成長量が約40%低下したことが報告されている。数十年の長い年月が必要とされる木材の生産や環境資源としての森林の持続的利用のためには、これら大気環境の変化が樹木の生育や森林の生産性に与える影響を明らかにする必要がある。本シンポジウムでは樹木生理生態学を基礎として、大気環境に関するモニタリング、実験的研究およびフィールド調査、さらには森林や樹木への影響評価手法に関する研究等について最新の知見を持ち寄り、日本をはじめとしたアジア地域の森林に対する大気環境の変化の影響と将来の展望を議論する。

S12 樹木根の成長と機能
Growth and development of tree roots

コーディネータ: 平野恭弘(名古屋大学)、野口享太郎(森林総合研究所)、大橋瑞江(兵庫県立大学)

28日(予定)

趣旨: 「樹木根の成長と機能」の企画シンポジウムでは、樹木根をキーワードに細い根から太い根まで、細胞レベルから生態系レベルまで、根と関連する多岐にわたる研究を報告対象とします。今回のシンポジウムでは【環境と根の形成】に焦点をあてます。樹木の根の形成は、それを取り巻く環境に応じて変化し、その結果、その立地環境に適応した根系を形成します。変動環境下で生じる水分、温度、養分環境の変化に適応して根がどのように形成されているのか?を中心に樹木根の動態を取り巻く環境条件とともに議論していきたいと思います。今回は、福井県立大学生物資源学部の塩野克宏先生に、【過湿環境に適応するための植物の根の形成】について、特別講演として30分程度、話題提供していただく予定です。
 また、本シンポジウムでは、樹木根の形成に関する研究報告のほか、樹木根に関する国際会議の動向について森林学会員に対して広く情報提供し、今後の樹木根とその関連分野による共同研究や国際的なネットワーク作りを促進するための議論もしていきたいと思います。なお当日は15分の趣旨説明の後、15分の口頭発表を8件程度、塩野先生の特別講演を30分行います。最後に総合討論の時間を15分設け、3時間のシンポジウムとする予定です。