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日本森林学会会長就任にあたって

日本森林学会会長就任にあたって

日本森林学会会長 丹下 健

このたび日本森林学会会長に就任いたしました東京大学の丹下 健です。会長就任にあたりご挨拶させていただきます。学会運営との関りは32年前に大会論文集の編集主事を務めたのが最初で、その後JFR編集担当理事も務めさせていただきました。永田信会長時代に、学会の財務状況の改善方針の策定に関わらせていただきましたが、総務や財務などの学会運営に直接かかわった経験はありません。経験不足な点を学会役員や事務局の皆様に補っていただきながら学会運営を担っていきたいと思います。

今年に入ってからの新型コロナウィルス感染症の国内での感染拡大により、会員の皆様の生活や研究活動も大きな影響を受けられていることと思います。世界的な感染拡大によって、海外との人的交流や共同研究が困難な状態が続いており、ご苦労されている会員も多いことと思います。森林学会も、名古屋大学を会場とし開催予定であった学術大会も中止となりました。学術大会中止の事後処理やオンラインで会議形式での総会開催など、このような状況のなかでの学会運営を担っていただいた黒田慶子前会長を始め、学会役員・事務局の皆様のご尽力に心より感謝申し上げます。現在、全国的には感染者数の増加は低く抑えられ、緊急事態宣言も解除されていますが、経済活動の再開に伴って感染者数の増加が確認されている地域も生じています。ワクチンや治療薬が普及するまでは、コロナウィルスと共存した「with コロナ」の生活が続くとされています。私の任期の2年間は、「with コロナ」時代の学会活動のあり方を策定することが任務の一つとなります。

学術大会開催は、会員の研究発表の機会であるとともに、世代や専門分野、所属の異なる会員の交流の機会であり、学会にとって最も重要な事業です。高校生による研究発表も、森林科学の裾野を広げる大切な機会となっています。これまでは全国から会員が集まり、対面で開催されてきました。来春の学術大会も、感染状況によっては通常開催が難しくなることも想定され、オンライン開催に対応できる準備を進めていきます。どのような開催形態となっても、研究発表とともに会員交流の機能をいかに維持できるかが検討課題です。学術大会に関しては、その運営を担っていただいている開催地区の会員の負担の軽減も課題となっています。学会員は減少傾向が続いており、各地区の会員数も減少しています。学会では、開催校の会員を中心に組織される学術大会運営委員会とは別に、発表プログラム編成や学術講演集の刊行などの業務を分担するプログラム編成委員会を組織し、大会参加費も学会ウェブサイトから徴収できるようにするなど、開催校の負担の軽減を図ってきました。将来に向けた学会大会運営のあり方についてもさらに検討を進めていきます。

会員減少は、学会の財務状況の悪化を招いています。5月27日に開催された総会でも2019年度の収支が赤字であることが会計担当理事から報告されました。石塚和裕会長時代に、JFRと森林科学の冊子体の要否による会費区分を設けて収入増を図るとともに、支出項目の見直しによる支出削減を図る財務状況の改善が行われてから10年が経過しました。その間、JFRの出版社変更などの支出削減努力もなされてきました。すぐに学会運営が立ち行かなるという状況ではありませんが、活発な学会活動を維持しながら財務状況を改善するための検討を始めます。

異常気象が頻発するようになり、地球温暖化に伴う気候変動が、社会の持続可能性にとっての脅威となり、気候変動の緩和に寄与する森林への期待はますます高まっています。しかしながら世界の森林面積は熱帯林を中心に減少が続いています。森林生態系の健全性への気候変動の影響も指摘されています。国内でも主伐期を迎えた人工林が過半を占めるようになり、国産材供給量は近年増加傾向にありますが、幼齢期の人工林面積は増えず将来の人工林資源造成は進んでいません。森林に関わる課題は、森林の大切さを訴えるだけでは解決せず、森林保全と経済活動が両立できる社会システムが必要です。森林科学の特長は、自然科学だけではなく、人文科学や社会科学など広範な分野を含む総合科学という点です。そのような多様性を核としてさらに広範な専門分野の方々との協働を広げていくことが求められていると思います。そのような動きのきっかけを増やしていくことも学会の役割と思います。

先が見通せない状況ではありますが、研究成果の発信や情報交換などを通しての会員の皆様の研究活動の支援と社会貢献という学会の機能をさらに向上できるよう努力して参りたいと思います。皆様のご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。

(2020年6月)


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