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Journal of Forest Research Vol 19, No 4 (2014年8月)

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種類: 原著論文/社会経済-計画-経営

Title:  Importance of capital cost reduction of chippers and their required productivity

巻頁: J For Res 19 (4): 361-368

題名: チッパ初期投資額低減の重要性と求められる生産性

著者: 吉田美佳,酒井秀夫

所属: 東京大学大学院農学生命科学研究科

抄録: 小型移動式チッパの生産性とチッピング費用の調査結果から、原材料投入のためのグラップルローダ費用や人件費も含めたチッピング費用の目標を250円m-3(チップ体積)とした場合に、チッパ初期投資額がチッピング費用に及ぼす影響を実稼働時間を変えて分析した。小型チッパの生産性は23.7m3h-1、燃料消費量は14.6Lh-1であり、初期投資額が低いことから大型で生産性の高いグラインダによるチッピング費用の事例よりもチッピング費用は安かったが、上記目標費用には到達しなかった。小型チッパによって目標費用を達成するためにはチッパの生産性を33m3h-1まで向上させる必要がある一方、大型グラインダは初期投資額を低減させる必要がある。チッピング費用を低減するにはチッパの生産性を維持しながら初期投資額を低減することが重要であり、原材料の数量が少なく実稼働時間が短くなる小規模森林施業において小型チッパは有用である。


種類: 原著論文/社会経済-計画-経営

Title:  Individual-level analysis of damage to residual trees after single-tree selection harvesting in northern Japanese mixedwood stands

巻頁: J For Res 19 (4): 369-378

題名: 単木択伐作業における残存木の損傷に関する個体レベル解析:北海道の混交林の事例

著者: 辰巳晋一,尾張敏章,笠原久臣,中川雄治

所属: 東京大学北海道演習林

抄録: 単木択伐作業に伴う損傷木や枯損木の発生を定量化することは、伐採後の森林動態や管理を考えるうえで重要である。本研究では、樹木サイズ、樹種、伐倒木から残存木までの距離、および集材路から残存木までの距離が、残存木の損傷率や枯損率に与える影響を定量化した。対象地は北海道の針広混交林とした。対象とした4961本の残存木のうち、373本(7.5%)が損傷を受け、148本(3.0%)が伐採作業時に枯損していた。階層ベイズモデルを使った解析の結果、伐倒木や集材路の近くにいる残存木ほど損傷しやすく、また、伐倒木のサイズが大きくなるほど残存木の損傷率が高くなると推定された。さらに、小さい残存木ほど損傷を受けやすい傾向があった。損傷を受けた際に枯損する確率には種間差があった。本研究の対象種の中では、トドマツとエゾマツで最も枯損率が高いと推定された。また、小さい木ほど枯損率が高い傾向があった。伐採時に損傷した木は、損傷しなかった木と比べて伐採後の枯損率が高かった。本研究の結果、(1) 集材路の空間配置を最適化し、固定すること、(2) 集材に伴う損傷木の発生を、伐採木の選木や伐倒方向を決める前に予め検討しておくこと、(3) オペレーターに、損傷に敏感な樹種(損傷時の枯損率が高い種)の小径木をなるべく傷つけないように指示することが重要だと示唆された。


種類: 原著論文/社会経済-計画-経営

Title:  Applying age-based mortality analysis to a natural forest stand in Japan

巻頁: J For Res 19 (4): 379-387

題名: 天然林における生存時間解析の適用

著者: 広嶋卓也

所属: 東京大学千葉演習林

抄録: 従来,樹木集団の寿命を解析する際には,寿命を説明する変数として,測定の困難な樹齢の代わりに胸高直径や樹高を利用することが一般的であった。本論では,天然林の樹木集団を対象に,樹齢を説明変数とした寿命の解析,すなわち生存時間解析を適用することを目的とした。対象林は,房総半島南東部におけるモミ,ツガ,コナラが優占する0.26haの110年生二次林である。はじめに過去10年間の生死が判明している胸高直径5cm以上の生立木および枯死立木・倒木を対象に,レジストグラフを利用して樹齢を計測した。次に生存関数として,パラメトリックなガンマ分布,ワイブル分布の2通りを想定し,打ち切り,切断を考慮した最尤推定法によりパラメータを推定し,ノンパラメトリックなカプラン・マイヤー推定量と比較した。結果として,対象林のように生存関数が単調減少となる未熟な天然林で生存時間解析を行う場合は,カプラン・マイヤー推定量と同様に,ガンマ分布,ワイブル分布のようなパラメトリックな生存関数も有効であった。


種類: 原著論文/生物-生態

Title:  The influence of the aphid-specific pathogen Conidiobolus obscurus (Entomophthoromycota: Entomophthorales) on the mortality and fecundity of bamboo aphids

巻頁: J For Res 19 (4): 388-394

題名: アブラムシの特異的病原菌Conidiobolus obscurus(ハエカビ門ハエカビ目)がタケ上のアブラムシ類の死亡と繁殖に与える影響

著者: Xiang Zhou,Da-Wei Wang,Xin Zhang,Jiang-Hong Wang

所属: Zhejiang Agricultural and Forestry University

抄録: Bioassays and scanning electron microscopy of Conidiobolus obscurus for bamboo aphids as well as its effects on the fecundity of bamboo aphids were carried out to estimate bamboo aphid biocontrol potential. Multi-concentration bioassay and fecundity assessment were performed on aphid species of Takecallis taiwanus, Takecallis arundinariae, Melanaphis bambusae, and Metamacropodaphis bambusisucta. C. obscurus can effectively infect four species of bamboo aphids, and most cadavers appeared in the first 2 days after inoculation. The final mortalities reached 74-91 % at high concentrations of conidia among the tested species. Based on the fitted time-concentration-mortality models, the estimates of the median lethal concentration (LC50) of the fungal conidia differed significantly among different aphid species and decreased with observation days. The lowest LC50 was estimated to be 57 conidia mm−2 for T. taiwanus on day 5 after conidial shower. Moreover, the C. obscurus-infected aphids only produced 3.9-18.2 % progeny of the corresponding healthy aphids, which strongly presented fungal influence on host fecundity. In conclusion, C. obscurus has the ability of restraining the development of bamboo aphid populations, which is suitable for further application in aphid biocontrol in bamboo forests.


種類: 原著論文/生物-生態

Title:  Ectomycorrhizal fungal communities of Quercus liaotungensis along different successional stands on the Loess Plateau, China

巻頁: J For Res 19 (4): 395-403

題名: 中国黄土高原の遷移段階の異なる林分におけるリョウトウナラ(Quercus liaotungensis)の外生菌根菌群集

著者: Jian Zhang,谷口武士,Ming Xu,Sheng Du,Guo-Bin Liu,山中典和

所属: 鳥取大学乾燥地研究センター

抄録: リョウトウナラ(Quercus liaotungensis)は中国黄土高原において森林を構成する非常に重要な樹種であるが、この外生菌根共生については不明な点が多い。本研究では、異なる遷移段階の林分におけるリョウトウナラ(実生:1~3年生、若木:20~30年生、成木:50~70年生)の外生菌根群集について調査を行った。それぞれの林分からリョウトウナラの根系を採集した後、実体顕微鏡による観察を行い、それぞれの外生菌根を形態に基づいて類別した。類別した菌根タイプからDNAを抽出し、ITS領域を対象としたPCR-RFLP、およびシーケンス解析を行った。結果として、外生菌根菌は70の遺伝子タイプに分別され、推定菌種数は100種以上であると見積もられた。実生、若木、成木の外生菌根菌種を比較したところ、7%の共通種と61%の特有種によって構成されていた。出現した外生菌根菌種数は、実生よりも若木や成木で多かった。また、若木と成木の外生菌根菌群集は、実生と若木、あるいは実生と成木よりも高い類似性を示した。多次元尺度構成法から、実生、若木、成木のそれぞれで菌根群集が異なる傾向が認められた。


種類: 短報/生物-生態

Title:  Discoloration induced by Raffaelea quercivora isolates in Quercus serrata logs and its relation to phylogeny: a comparison among isolates with and without the Japanese oak wilt incidence including outside of Japan

巻頁: J For Res 19 (4): 404-410

題名: Raffaelea quercivora菌株がコナラ丸太に誘導する変色およびその分子系統との関係―日本および日本国外のブナ科樹木萎凋病の発生のない地域で採集した菌株間の比較―

著者: 楠本大,升屋勇人,平尾聡秀,後藤秀章,濱口京子,Wen-I Chou,Wiwat Suasa-ard,Sawai Buranapanichpan,Sopon Uraichuen,Oraphan Kern-asa,Sunisa Sanguansub,Aumporn Panmongkol,Thu Pham Quang,Sih Kahono,Heddy Julistiono,鎌田直人

所属: 東京大学大学院農学生命科学研究科

抄録: ブナ科樹木萎凋病は1980年代後半以降、日本で大きな被害をもたらしている。病原菌R. quercivora(以下、ナラ菌)やカシノナガキクイムシ、ナラ・カシ・シイ類の樹木はアジア太平洋諸国に分布しているが、日本以外で本病の発生は報告されていない。本研究では、日本を含めたアジア5カ国からナラ菌の菌株を採集し、コナラ丸太に対する材変色の誘導能力を比較した。国外の菌株接種による材変色の接線方向の幅は、日本産2菌株と同等かそれ以上であった。このことから、国外でブナ科樹木萎凋病の発生がみられないのは、ナラ菌の材変色を拡大する能力が日本産菌株よりも劣っているからではないことが示された。材変色とDNA解析に基づく菌株間の系統関係を解析すると、材変色の大きさは菌株間の系統的な近縁性と関連がなかった。日本以外の国で本病の発生報告がない理由を議論するためには、アジア諸国における宿主樹木の感受性やカシノナガキクイムシの攻撃性などの研究がさらに必要である。


種類: 短報/生物-生態

Title:  Negative effect of removing pulp from unripe fleshy fruits: seed germination pattern of Celtis sinensis in relation to the temporal context of fruit consumption

巻頁: J For Res 19 (4): 411-416

題名: 未熟液果における果肉除去の負の効果―果実消費の時間的文脈に関連したエノキCeltis sinensisの種子発芽パターン―

著者: 吉川徹朗,井鷺裕司

所属: 東京大学大学院農学生命科学研究科

抄録: 液果をつける樹木エノキCeltis sinensisにおいて、種子発芽パターンに対する、動物による果実消費の時間的効果を調査した。苗畑での播種実験により、(1)異なった成熟段階の果実において果肉除去が発芽パターンにどのような影響を与えるのか、また(2)成熟果実由来で果肉除去後の種子において、種子散布のタイミングが発芽パターンにどのような影響を与えるのかを調査した。その結果、成熟果実での果肉除去は発芽率や発芽タイミングに影響しないことがわかった。それに対して未熟果実での果肉除去は発芽率を大幅に低下させた。成熟果実由来で果肉除去後の種子において、発芽率は播種時期の影響を受けなかったが、発芽タイミングは遅い時期に播種された種子、あるいは被陰環境に播種された種子で遅くなった。