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Journal of Forest Research Vol 18, No 6 (2013年12月)

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種類:総説/生物-生態
Title:  The effects of stand structure on specific needle area in closed-canopy Chinese pine plantation
巻頁: J For Res 18 (6): 445-453
題名: 林冠が閉鎖したPinus tabulaeformis人工林における林分構造が比葉面積に与える影響
著者: Yu Shi,Xinxiao Yu,Xiongbin Wang,Jiayin Zhang
所属: Beijing Forestry University
抄録: The specific leaf area (SLA) is an important variable reflecting the carbon gain strategy of tree growth, but the relationship between SLA and other environmental factors have not been studied extensively at the stand level. The aim of this study was to define the relationships between stand structure and SLA in order to improve the predictive value of SLA for forest management models. Various parameters of stand structure and specific needle area (SNA) were measured in 14 different even-aged and closedcanopy stands of Chinese pine (Pinus tabulaeformis Carr.). Correlation and regression analysis revealed several significant relationships between stand structure and SNA. Stand density exerted a significant effect on mean-canopy SNA (SNAmean). Stand density was also strongly correlated to mean-layer SNA (SNAL), especially at lower canopy layers. SNAL increased at lower canopy layers within each stand, and the increase was greater in higher density stands. Within the range of stand densities examined in this study, the SNAmean firstly increased sharply with stand density up, and the rate of rise also declined with the increasing density. Finally, it reached stable when the stand density beyond about 3000 trees ha-1.

種類: 原著論文/社会経済-計画-経営
Title:  Large-scale survey of frequency of forest walking and related factors in a Japanese population inhabiting a large city and comparison of an urban area and a rural area
巻頁: J For Res 18 (6): 454-461
題名: 大都市住民の森林散策頻度と関連要因に関する大規模調査:中都市と町村部との比較
著者: 森田えみ,青山京子,田村高志,岡田理恵子,川合紗世,伊藤宜則,内藤真理子,若井建志,浜島信之
所属: 名古屋大学大学院医学系研究科
抄録: 森林科学分野では、一般集団での森林散策頻度は基礎的なデータである。よって、本研究は、①大都市である名古屋市の住民の森林散策頻度の実態を調査すること、②森林散策頻度の地域差を検証すること(名古屋市、中都市(静岡地区:対象者4,666人)、町村部(北海道八雲町:対象者397人))、及び、③森林散策頻度と関連がある要因を明らかにすることを目的とした。2008年6月~2010年5月に、名古屋市に居住する人を対象にして、自記式質問紙による森林散策頻度の調査を行った。解析対象者は5,158人(男性1,466人、女性3,692:平均年齢(標準偏差)52.5(10.3)歳)であった。森林散策を月1回上行っている人の割合は10.9%(男性15.1%、女性9.3%)、年1回以上の割合は46.1%(男性 51.0%、女性 44.1%)であった。従属変数を森林散策の頻度(月1回以上、年1回以上)、独立変数を性別、年齢、地域、森林散策の好き嫌いとしてロジスティック回帰分析を行ったところ、調整オッズ比はいずれも有意な差が認められた。地域差に関しては、森林散策を行っている人の割合が高い順に、静岡地区>名古屋市>北海道八雲町であった。また、男性、高年齢、森林散策が好きな人が高い割合で森林散策を行っており、森林散策頻度と最も強い関連を示したのは森林散策の好き嫌いであった。今後は、これらの要因がなぜ森林散策頻度と関連があるのかを更に明らかにしていく必要がある。

種類: 原著論文/環境
Title:  Effects of winter buds on winter nitrogen uptake and allocation in Pinus densiflora saplings
巻頁: J For Res 18 (6): 462-465
題名: アカマツ稚樹における冬季の窒素吸収と配分への冬芽の影響
著者: 上田実希,徳地直子
所属: 東北大学大学院生命科学研究科
抄録: 近年、植物は成長が小さい冬季にも窒素吸収を行うことが明らかとなってきた。窒素利用は成長と密接に関わっていることから、成長が小さい冬季の植物の窒素利用様式や制御機構は成長期とは異なっている可能性がある。これまでの研究から、冬季に吸収された窒素は翌年の成長期に、新葉の展開に寄与することが明らかとなっている。冬季には翌春の新葉の展開に備えて冬芽が準備されていることから、冬芽が冬季の窒素利用に影響を及ぼしている可能性があると考え、アカマツ(Pinus densiflora)の稚樹を材料として、冬芽の窒素利用への影響を調べる目的で摘芽試験を行った。窒素の安定同位体(15N)を用いた標識試験を行い、窒素吸収や配分に冬芽の有無がどのような影響を及ぼしているのか調べた。その結果、冬季の窒素吸収や吸収された窒素の配分には冬芽の影響が検出されなかったものの、冬芽がある個体でのみ葉からの窒素転流が確認された。このことは、アカマツ稚樹では成長が小さい冬季の間も、翌春の成長のために窒素の再配分を行って準備していることを示している。冬季に吸収した新しい窒素よりも、すでに葉に保持していた古い窒素を転流に利用していることは、土壌の窒素可給性に左右されずに安定的に窒素を翌春の成長に振り向けるのに役立っていると考えられた。

種類: 原著論文/環境
Title:  Long-term changes in the chemical properties of Japanese cedar (Cryptomeria japonica) forest soils under high precipitation in southwest Japan
巻頁: J For Res 18 (6): 466-474
題名: 多雨地域のスギ林における土壌化学特性の長期変化
著者: 山田毅,竹中千里,吉永秀一郎,平井敬三
所属: 森林総合研究所東北支所・名古屋大学大学院生命農学研究科
抄録: 多雨地域のスギ林における土壌化学特性の長期変化を明らかにするため、高知県の魚梁瀬において1976年に土壌調査が行われた地点で1997年に再調査を行った。その結果、表層や次表層でpH値 や交換性陽イオン量の減少が認められた。一方、下層土のpH値や全炭素・全窒素、陽イオン交換容量には変化が見られなかった。生態系内のプロトンおよび交換性塩基のストックとフローを土壌および地上部バイオマス中の蓄積量や降水による流入量から求めたところ、1976年に比べて1997年は生態系内に保持されている交換性塩基量が減少し、生態系外へ溶脱していることが示唆された。一方、この交換性塩基の減少量に比べて生態系内のプロトン増加量は少ないが、過去の大気汚染が激しかった頃の酸の負荷、乾性沈着、林内雨や樹幹流などによる酸の負荷の影響が加味されていないからであろう。本報の結果は、従来指摘されてきたスギ林土壌においてCaが蓄積することとは対照的であるが、年4,000mmを越える降雨と過去の酸性降下物の影響によって土壌中の交換性塩基の溶脱が進行したことによるものであろう。

種類: 原著論文/生物-生態
Title:  Thinning effect on height and radial growth of Pinus thunbergii Parlat. trees with special reference to trunk slenderness in a matured coastal forest in Hokkaido, Japan
巻頁: J For Res 18 (6): 475-481
題名: 北海道の壮麗海岸林におけるクロマツの樹高と直径成長、とくに形状比に対する間伐効果
著者: 真坂一彦,佐藤創,鳥田宏行,今博計,福地実
所属: 北海道立総合研究機構 林業試験場
抄録: 北海道における壮齢クロマツ海岸林への間伐効果を検証するため,間伐強度が異なる4つの処理区を設定し(無間伐区および本数伐採率で20%,40%,60%間伐区;各20m×20m),10年間追跡した。60%間伐区における調査木の直径成長は,他の処理区より有意に大きく,逆に樹高成長は有意に低かった。相対樹高成長率と相対直径成長率のあいだのトレード・オフを評価する樹高成長寄与示数によると,無間伐区と弱度間伐区(20%および40%間伐区)における調査木は,60%間伐区の調査木と比較してより樹高成長に投資していた。樹幹の形状比は80を超えると強風や冠雪に対する感受性が高まるといわれているが,無間伐区と弱度間伐区における形状比は60%間伐区に比較して増加した。本研究において,間伐後10年経過した時点で形状比が80を超える個体数割合は,無間伐区では44.3%に達した。弱度間伐区でも形状比が80を超える個体は増加したが,60%間伐区では変化がなかった。日本では,保安林に対する間伐の伐採率上限は法的に35%以下と定められているが,形状比に対してはほとんど改善効果がないといえる。

種類: 原著論文/生物-生態
Title:  Plant functional groups based on vegetative and reproductive traits in a subtropical forest community
巻頁: J For Res 18 (6): 482-490
題名: 成長特性と繁殖特性に基づく機能性による亜熱帯林構成樹種の分類
著者: Hai-yang Wang,Hong Chen
所属: Institute of Landscape Ecology of Mountainous Horticulture, Southwest University
抄録: Plant functional types (PFTs) are essential for us to research on community structure and dynamics. A proper criterion for assessing PFTs in a broad-leaved community is yet established, and the reports for correlation between PFTs and plant succession are still rare. The current study aimed to: 1) detect which functional trait (s) of woody species would best characterize PFTs in a forest community; 2) explore general changing trend of functional traits with plant succession. We sampled fruit-bearing twigs of 55 woody species in a subtropical forest in southwest China, and recorded two sets of sizes of functional traits including both vegetative and reproductive organs. A principal components analysis (PCA) was performed to the functional traits studied, and the functional types were grouped out with K-means clustering. Next, the relationship between PFTs and species succession status was examined as well. The PCA revealed that of all the functional traits studied, twig sizes may exert a greatest impact on the traits assemblages and PFTs' performances in this community, i.e., twig size may act as an important determinant for PFTs at the species level. The 55 woody species were classified into three distinct PFTs which sizes tended to increase with the advance of species succession. Twig size was apt to combine with leaf size, and so was the fruit size with seed size.

種類: 原著論文/生物-生態
Title:  Among-year variation in deer population density index estimated from road count surveys
巻頁: J For Res 18 (6): 491-497
題名: 林道走行中のシカ目撃数を利用したシカ生息密度指標の年変動
著者: 井上みずき,阪口翔太,福島慶太郎,境優,高柳敦,藤木大介,山崎理正
所属: 秋田県立大学生物資源科学部
抄録: 野生動物保護地域においてシカ管理計画を立てるために、低コストで手間のかからないシカの相対生息密度指標を得ることが早急に必要となっている。2006年から京都大学芦生研究林において、自動車で日中林道を走行する際に目撃したシカの個体数を記録した。一般化加法混合モデル(GAMM)を用いて、全シカ目撃数(TND),成熟個体の目撃数(NA),当年および1歳の仔ジカをふくむ仔ジカ目撃数(NF)を解析した。フルモデルでは年(2007,2008,2009,2010年)、天気(晴れ、曇り、雨/雪)を要因とし、また季節(日)と時間を非線形な効果として組み入れた。TND, NA, NFを予測する最適モデルとして天気の項は含まれず、時間と日、年が選択された。検出されたシカ個体群の年変動の傾向は積雪量に影響されていることが示唆された。GAMMを用いた本モデリング手法は、林道走行中のシカ目撃数年変動を量的に示した。今回みとめられた変動は芦生研究林の区画法で得られた個体数密度と同様の傾向を示した。