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Journal of Forest Research Vol 17, No 4 (2012年8月)

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種類: 原著論文/環境
Title:   Differences in soil organic matter, extractable nutrients, and acidity in European beech (Fagus sylvatica L.) forest soils related to the presence of ground flora
巻頁: J For Res 17 (4): 333–342
題名: 地表植生の有無によるヨーロッパブナ林の土壌の有機物,交換性養分および酸性度の違い
著者: Frida Andreasson,Anna-Maj Balsberg Påhlsson,Bo Bergkvist
所属: Department of Ecology, Lund University, Sweden
抄録: Differences in soil organic matter (SOM) content, soil acidity, and soil exchangeable nutrients (NH4–N, NO3–N, Ca, K, Na, Mg) related to the presence of ground flora were studied. The study was carried out for a growing season in two different Fagus sylvatica L. forests in southern Sweden, and the differences in soil characteristics below naturally occurring patches of Deschampsia flexuosa (L.) Trin. or Anemone nemorosa L. were compared with those with no ground flora. Patches of D. flexuosa led to higher soil pH, but lower SOM, water content, base saturation, and NH4–N concentration compared with adjacent zones without D. flexuosa. The lower SOM content suggested an increased rate of decomposition which caused soil pH to increase because of release of basic cations. In the presence of A. nemorosa, pH was higher and the exchangeable acidity lower than for patches without the herb. In early spring, when A. nemorosa emerged and flowered, the NH4–N concentration was somewhat lower in the presence of the herb than when it was absent. For the evergreen grass D. flexuosa NH4–N concentrations were lower in patches with the grass later in the summer season (July). This work indicates the presence of spatial and temporal differences in nutrient circulation and decomposition on the small ground flora scale, which should be considered when studying nutrient and carbon cycles of temperate forests.

 

種類: 原著論文/環境
Title:  Comparison of the fine root dynamics of Populus euphratica forests in different habitats in the lower reaches of the Tarim River in Xinjiang, China, during the growing season
巻頁: J For Res 17 (4): 343–351
題名: 中国新疆タリム川下流域の異なる立地のPopulus euphratica林における成長期の細根動態の比較
著者: Zhi-Qin Pei,Chun-Wang Xiao,Dan Dong,Shou-Ren Zhang
所属: The Chinese Academy of Sciences, Peoples Republic of China
抄録: The fine root dynamics of Populus euphratica forests in the upper section (Yingsu) and lower section (Alagan) habitats of the lower reaches of the Tarim River, southern Xinjiang, China, were investigated and compared by a sequential soil coring method during the growing season of 2008. Soil organic carbon, total nitrogen, soil water content, fine root biomass, necromass, and production were significantly higher in Yingsu than in Alagan, suggesting better nutrient conditions for fine root growth in Yingsu than in Alagan. Fine root biomass, necromass, and production significantly increased from April until it peaked in August, and then it decreased. Fine root biomass, necromass, and production differed significantly among the soil layers, and their largest values appeared in the soil layer 40–80 cm deep. Mean turnover rates in the 0–120 cm soil layer were 1.60 and 1.52 year−1 in Yingsu and Alagan, respectively, and the fine root turnover rate did not differ significantly between the two habitats or among the soil layers. These results show that habitat change can significantly affect fine root biomass and the production of P. euphratica forests, leading to changes in plant primary production, nutrient cycling, and carbon sequestration in forest ecosystems in the lower reaches of the Tarim River.

 

種類: 原著論文/生物-生態
Title:  Potential role of frugivorous birds in the recovery process of forest vegetation after feral goat eradication in Mukojima Island, the Bonin Islands
巻頁: J For Res 17 (4): 352–359
題名: ノヤギ駆除後の小笠原諸島聟島で果実食鳥類が与える植生回復過程の潜在的な役割
著者: 栄村奈緒子,川上和人,出口智広,曽根晃一
所属: 鹿児島大学農学研究科
抄録: 大きく改変された環境では,外来鳥類が外来植物の種子散布者となっている一方で,絶滅した在来鳥類の代わりの種子散布者となる場合もあることが知られている。そのため,ある生態系を管理する場合,在来種と外来種の果実食鳥類と植物の関係を理解することは重要である。人為的に植生の大部分が破壊された小笠原諸島の聟島では,果実食鳥類のメジロと,多くの果実植物が移入されている。我々は聟島における果実食鳥類の生息地利用と糞の内容物,糞から採取された植物の分布を明らかにした。その結果,島で優占的に観察された陸鳥は移入種のメジロと在来種のイソヒヨドリのみであった。メジロは主に森林を利用し,小型の種子を散布していた。本種は外来植物の種子を高頻度に散布していた。イソヒヨドリは主に開放地を利用し,小型と大型の両方の種子を散布していた。2種の糞から検出された小型種子の植物は林内だけでなく,開放地でも生育しており,大型種子の植物よりも成木から遠くの距離で実生が確認された。これらの結果から,小型種子の植物は両種の鳥類によって異なる環境へ種子が散布されることで,大型種子の植物よりも分布の拡大が期待された。大部分の植生が破壊され,在来鳥類が絶滅した聟島では,移入種のメジロは移入植物の分散に寄与している一方で,種子散布者として植生回復にも寄与していると考えられた。

 

種類: 原著論文/生物-生態
Title:  Seasonal variations in the incidence of pine wilt and infestation by its vector, Monochamus alternatus, near the northern limit of the disease in Japan
巻頁: J For Res 17 (4): 360–368
題名: マツ材線虫病北限付近における枯死木発生の季節変動とマツノマダラカミキリの寄生
著者: 太田和誠,星崎和彦,中村克典,長岐昭彦,小澤洋一,日下石碧,蒔田明史,小林一三,中北理
所属: 秋田県立大学生物資源科学部
抄録: この20~30年間の間にマツ材線虫病は寒冷地に広がり,近年は東北地方や高標高地が全国の被害の主要な割合を占めている。寒冷地では枯死木が年中発生することやマツノマダラカミキリの寄生が一部に留まることが指摘されているが,過去のデータは十分でないため,防除戦略には反映させにくい。そこで,マツ材線虫病北限に近い秋田市の海岸林に85 haの調査地を設け,枯死木発生の季節変動とそれらへのマツノマダラカミキリの寄生状況を2年間にわたって調査した。針葉変色木は年間を通じて発生し,その季節変動はクロマツでは二山型(5~6月と10月に多い),アカマツでは6月に明瞭はピークをもつパターンを示し,これまでに報告された関東以西のより温暖な地域のものとは大きく異なっていた。毎年の枯死木の40~45%にマツノマダラカミキリによる産卵噛み跡(以下,産卵痕)があり,その割合はアカマツよりクロマツで高かった。この結果は,両種の衰弱時期の季節的傾向の違いを反映していると思われた。マツノマダラカミキリの産卵痕の有無に関するリスク分析を行った結果,7~10月に変色が始まった枯死木には有意に高い被産卵リスクがあることがわかった。とくに,8月と9月の枯死木の被産卵リスクは他の月の2.5~14.6倍もあった。枯死木あたりの産卵痕密度を変色開始月ごとに比べたところ被産卵リスクの高い月(7~10月)どうしの間に有意な違いはなかった。以上の結果から,秋田では枯死木の4割強がマツノマダラカミキリに寄生され,防除にあたっては7~10月に初めて変色した枯死木が等しく重要な標的であるといえる。

 

種類: 原著論文/生物-生態
Title:   Interspecific variation in leaf water use associated with drought tolerance in four emergent dipterocarp species of a tropical rain forest in Borneo
巻頁: J For Res 17 (4): 369–377
題名: ボルネオ熱帯雨林におけるフタバガキ科巨大高木4種の耐乾性に関連した水利用特性の樹種間差
著者: 広見徹,市栄智明,田中憲蔵,二宮生夫
所属: 愛媛大学大学院連合農学研究科
抄録: マレーシアサラワク州ランビル国立公園の低地フタバガキ林において,フタバガキ科の林冠構成種4種の蒸散,気孔コンダクタンス,葉の水ポテンシャルを含めた水利用特性を調べた。調査した4種ともに,気孔コンダクタンスや葉の水ポテンシャルの日中低下を示した。また,最大蒸散速度と気孔コンダクタンス,日中の葉の水ポテンシャルには,明瞭な樹種間差が見られた。これらの樹種間差は,各樹種の材密度や生態学的な分布特性と密接に関係していた。特に,フタバガキ科の中で低い材密度を示し,粘土質土壌に分布するShorea parvifoliaS. smithianaは,調査した4種の中で蒸散速度が最も高く,日中葉の水ポテンシャルの大きな低下が見られ,高い水消費を示した。対照的に,材密度が高く,砂質土壌に分布するDryobalanops aromaticaは,日中でさえあまり水を消費していなかった。高い材密度を持ち,粘土質土壌に分布するDipterocarpus pachyphyllusは,中庸な水消費の傾向を示した。調査したShorea属2種は,1998年のエルニーニョ現象による強度乾燥時に,高い死亡率を示したことから,フタバガキ科林冠構成種の水利用の差異は,普段起こらないような強い乾燥時の応答と関係があることが示唆された。

 

種類: 原著論文/生物-生態
Title:   Fruiting behavior of dipterocarps in two consecutive episodes of general flowering in a Malaysian lowland rain forest
巻頁: J For Res 17 (4): 378–387
題名: マレーシアの低地熱帯雨林において連続的に発生した一斉開花におけるフタバガキ科の結実のふるまい
著者: 沼田真也,鈴木亮,西村千,内藤洋子,小沼明弘,津村義彦,谷尚樹,奥田敏統,Nur Supardi Md. Noor
所属: 国立環境研究所
抄録: マレーシアの低地熱帯雨林で連続的に発生した一斉開花におけるフタバガキ科24種の結実のふるまいを検討した。半島マレーシアのパソ森林保護区では,2001年8月から2002年2月まで最初の一斉開花(GF2001)が発生し,引き続き2002年3月から8月まで二番目の一斉開花(GF2002)が発生した。2つの一斉開花の規模は異なり,GF2001よりもGF2002の方が結実個体の割合が高かった。どちらの一斉開花においてもサイズが大きい樹木ほど結実する個体の割合が高くなる傾向が見られたが,それぞれの一斉開花における結実の有無や量の間で有意な関連性は見られなかった。これらのことから,樹木のサイズは結実率を説明する要因の一つであることが示唆されるが,結実のふるまいが直後の結実のふるまいに対して負の影響を及ぼすという証拠は得られなかった。一方で,規模が小さいGF2001において結実した個体の分布は相対的に集中しており,外的な環境要因が結実のふるまいに対して影響を与える可能性が示唆された。また,十分なサンプル数が得られた12種について種間比較を行ったところ,結実個体率は種間で大きく異なっていたが,これらの違いを成長タイプ(例えば成長が速い,遅い)だけで説明することはできなかった。以上から,連続的に発生した一斉開花におけるフタバガキ科の結実のふるまいは,樹木サイズや環境に対するフェノロジー反応の種間差によって説明されると考えられる。

 

種類: 短報/生物-生態
Title:   Ectomycorrhizal fungal community associated with naturally regenerating Pinus densiflora Sieb. et Zucc. seedlings on exposed granite slopes along woodland paths
巻頁: J For Res 17 (4): 388–392
題名: 花崗岩が裸出した林道脇法面上に天然更新するアカマツ稚樹における外生菌根菌群集
著者: 小長谷啓介,Joo Young Cha,Jong Kyu Lee,Sang Yong Lee,Kun Woo Chun
所属: College of Forest and Environmental Sciences, Kangwon National University, Korea
抄録: 花崗岩が裸出した林道脇法面上に天然更新するアカマツ稚樹を対象に,根における外生菌根菌群集を韓国で調査した。花崗岩が裸出した林道脇法面(生育地S),および林縁部または周辺林分内のギャップ(生育地F)から3~5年生のアカマツ稚樹を採取した。アカマツ稚樹に形成されている外生菌根を形態的特徴から分類し,その根端数を計測した。次に各形態タイプの外生菌根の形成に関与する菌種を,核DNAのITS領域における塩基配列の解析により明らかにした。全てのアカマツ稚樹から計27の外生菌根菌種が確認された。林道脇法面における更新稚樹ではAtheliaceae科に属する菌とショウロ属菌が優占していた。菌の種構成は生育地間で類似していた(0.59;Morishita–Horn指数)。14種が生育地間で共通して確認され,そのうち3種が各生息地において外生菌根の形成量の90%以上を占めていた。ベニタケ属菌1種は生育地Sよりも生息地Fで相対形成量と形成頻度が有意に高かったが,その他の菌種では生育地間で有意な差を示さなかった。本研究から,花崗岩が裸出した林道脇法面上に天然更新するアカマツ稚樹は,同立地に特異的に生息する菌とではなく,周辺林分に一般的に生息していると思われる菌と外生菌根共生を築いていることが明らかとなった。

 

種類: 短報/生物-生態
Title:   Virulence of Raffaelea quercivora isolates inoculated into Quercus serrata logs and Q. crispula saplings
巻頁: J For Res 17 (4): 393–396
題名: コナラ丸太とミズナラ苗に接種したRaffaelea quercivora株の病原力
著者: 楠本大,升屋勇人,大村和也,鎌田直人
所属: 東京大学大学院農学生命科学研究科
抄録: ブナ科樹木萎凋病の病原菌であるRaffaelea quercivoraについて菌株間の病原力の比較を行った。日本各地から採取した5菌株をコナラ丸太とミズナラ苗に接種した。その結果,コナラ丸太の接線方向の変色の幅は菌株間で有意に異なっていた。また,菌株毎の病原力はコナラ丸太とミズナラ苗で同様の傾向を示した。これにより,R. quercivoraの菌株間で病原力に差があることが初めて示された。.